2011年5月25日水曜日

NCAA 2011 vol.45 Tournament Quarter Final Syracuse vs Maryland

個人的には、今年のこれまでの全ての試合の中でベストゲーム。物凄い緊張感が試合開始のFace offから試合終了まで続いた。正に死闘。シュートが決まる度にソファーで絶叫してしまった。この試合が決勝戦だったとしても全くおかしくなかった。

結果から言うと、5対5の同点からのover timeで、最後にMarylandが決めて勝利。優勝候補筆頭だったSyracuseを破り、念願のFinal Fourに進出した。

Marylandにとって、今回の勝利までは素晴らしいドラマだった。
  • Marylandの4年生は4年前の入学時に「この代は優勝する」と言われた代。が、ここまで毎年ベスト8止まり。去年も期待されながら準々決勝でNotre Dameにupsetされ、HC Dave Cottle解任劇に。最後の1年に望みを懸けていた。
  • エースAT #27 Ryan Youngは4月に癌で母親を亡くしており、状況的にも非常に辛い物が有ったに違いない。それを感じさせないプレーをここまで見せて来た。チーム皆がYoungを精神的に支え、"Forever Young"の合い言葉の入った紫のシャツを着て挑む
  • そしてやはり最大の変化はコーチTillman。Cottleが解任され、Harvardから就任。試合後のインタビューでは感動で声が震えていた。「コーチが新しくなるというのは選手にとっても大変なこと。いろんな新しいことに慣れながら、古いやり方とのバランスを取りながら、少しずつ進んで行かざるを得なかった。それをやってきた選手たちに感謝」
そして、Syracuseは、7人のMLL指名4年生は、残念ながら最後に3度目の優勝を成し遂げる事無く、去年Armyによるアプセットで逃した優勝を取り戻す事無く、卒業する事になってしまった。残念だ。これからのMLLでの活躍に期待したい。

ちなみにCuseは12人の4年生が卒業する。7人のMLL選手も含め。戦力の8割をごっそり失うイメージだろうか。去年から今年のDuke以上に。来年以降数年は厳しい時代が続くだろう…(それを考えると尚の事今年優勝できなかったのはキツい…)

試合

試合自体は、思いっきりロースコアな展開。1Qは1-0、前半終わって2-2。SyracuseとMarylandとは思えぬロースコアな展開。(スコアボード

ただ一方で、ロースコアな展開としては今まで見て来た中で最も緊張感と見応えがあり、また、技術/戦略的にも学ぶ物が多い試合だったと感じた。

特に、Syracuseの引き続きの超固いDF。2枚のShorty Dまで含めて穴が一つも無い。クリース前をタイトに鬼パック。#40 DF John LadeがMD #27 AT Ryan Youngを確実に抑えきり、#11 LSM Joel WhiteはMD得点源の#19 OFMF Joe Cummingsに仕事をさせなかった。しぶとく守りながらも最後にダブルやチェックでスパッとボールを奪ったりと、DFにとっては、NCAA最強DFを誇るSyracuseが最後に残してくれた置き土産の教科書だと感じた。

逆にMDのOFも非常に素晴らしかった。トランジッションでのゴールは勿論狙うが、その後は基本的に可能な限り時間を掛けてPatientにゴールを狙う方針。明確な戦術的意思を込めて、毎回必ずStall warning(ストーリングの警告)が出るまでボールを回し続け、さらにストーリングの警告が出ても更にしぶとくボールを回し続けた。何とこの試合で出たMDへのストーリングの警告数は10以上。一回一回のMDのセットオフェンスは3-5分ずつ毎回消費するイメージ。(ある意味、今の大学ラクロスの構造上の欠陥を如実に現した試合とも言える。結局ストーリングが出されても別にボックスの中にボールがある限り無限にボールを回せるので。それこそ理屈上1点取ってボールを回して逃げ続けられるので。)固いSyracuseのDFに対し、攻め急いで確率の低いシュートを打たされると思う壷、とにかくひたすら相手に攻撃の時間を与えないという方針を貫いた。結果として、一つのF/O、一つのTurn-over、一つのシュートが持つ意味合いが普通の試合の何倍にも重い物になった。(であるが故に恐ろしく緊張感のある張りつめた試合になった。)

個別のプレーで印象に残っている点

あとは、個別のプレーでとにかく印象に残っているのは、Syracuseの#4 Jeremy Thompsonの2点目。魂のシュート。冗談じゃなく、今までの人生で見た全てのラクロスのシュートの中で最もカッコいいtime-and-room(スタンディングシュート)かも知れない。これ見せられたら全員彼のファンになっちゃうだろっていう。もう一つは同じく4年生の#23 Jovan Millerの右のランニングシュート。気合いで打ち抜いた。

あとは絶対に外せないのは、両ゴーリーの恐ろしくレベルの高いプレー。Cuse #15 John Gallowayはもちろんだが、何と言っても今シーズンを通してずーっと感動させられ続けて来たのはMDの1年生ゴーリー #31 Niko Amato。彼はマジで尋常じゃ無い。明らかに何かが違う。まだ1年生で。伝説的ゴーリーに成長する気がする。

最後に、もしかしたら一番学ぶべきかも知れないなと感じたのは、Marylandのベンチの雰囲気とテンション。祭りかと。全員が常時叫びまくり、飛び跳ねまくり。点を取ったり素晴らしいセーブをする度に全員がフィールドにいるんじゃねえかってくらい馬鹿みたいに盛り上がっている。試合に出てないメンバーまで含めて文字通り全員ラクロスで、全員一丸となって、喜びや苦しみを共有している。試合を祭りとして全員が心から楽しんでいる。これが出来ているチームは間違い無く強い。応援し、感謝し合うことで、チーム全員のセルフイメージが相互に拡大再生産されて行く。見てて、あー、いいチームだなー!このチームの中にいたら最高に楽しいだろうなー!と感じさせられた。

いやー、ってことでここまで3試合の準々決勝全てで下位シードが上位校を喰うという結果に。ここまで僕の予想は3つ全て外れ...予想難し過ぎるっちゅう話だ。来週Baltimoreでは初めてMarylandを生で見る事に。地元の声援を受けて縦横無尽に駆け回って欲しい。楽しみ過ぎ。

IL Highlight

3 件のコメント:

  1. Syracuse応援してたんで、負けちゃって残念っす。
    Thompsonのシュート魂入ってましたね。
    ハイライト見る度に鳥肌たってます。

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  2. 残念でならんよ。ホント。あれだけMLLタレントがスタックしたチームがMemorial Day Weekendにいないってどゆこと?っていう。勿体なさ過ぎる...でもまあ、裏を返せば、それだけMarylandも強いし、全体のレベルが高いってことなんだろね。

    ちなみに、こないだILの記事に書いてあったけど、Jeremy、ガキの頃からスティックと育ったIroquoisのナチュラルラクロスプレーヤーだけど、実は相っ当フィジカルへの拘りがあってトレーニングちゃんとやってるみたい。

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  3. なるほど。
    やっぱフィジカル面もびっちりやってるんですね。

    ダッジからシュートの軸のブレなさとか見ると、あー納得!!って感じです。

    もうFinal4/Finalと全然読めないですが、このブログから結果見るの楽しみにしてます!

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