2012年5月31日木曜日

Stick Dr. vol. 2

2010年12月

Stick Doctorのその2。

リンク

サイドウォールを編む際のテク。先端から数センチをちょっと(溶けない程度に)焼くことで、ふにゃふにゃの紐をちょっと固くして、細い棒のようにすることで穴に通し易くするという技。これは確かに賢い。先端だけ溶かして固めると、先っぽがバラけないというメリットがある一方で、ちょっと膨張しちゃって穴に通しにくくなったりするという問題があった。が、これなら確かにサクサク行けそう。

ポイントは、ハサミで切ってからあぶるんじゃなくて、先に火であぶって硬くしてからハサミで切るという点。

家庭科で習った針の穴に糸を通す糸通し的な、というか、ショートパンツやスウェットの腰紐が洗濯で抜けちゃった時に通し直す時の紐通しの棒みたいなイメージ?

これも広い意味での「ラクロスリテラシー」の一つ。この辺のTips/知恵を多く持っている選手/チームがIncrementalに強さを積み重ねていくと言う事だろう。

2012年5月30日水曜日

Stick Doctor Forum

2010年10月

IL主催のStick Doctor Forumというコーナーがあり、いろんなStick作り/メッシュ編みの技術やメカニズムに関する情報や議論が載っている。Websiteにそこから選ばれた最も面白い技が紹介されていた。

ちなみにポケットの作り方や位置、ヘッドのトップのプラスチックにボールが当たるのがいいか/好きか、Shooting stringsはどの種類のを何本どういうシェイプと固さで付けるか、などなど、王道な内容は既に過去に散々議論されてきていることもあり、敢えてトリッキーなものが選出されている。

記事のリンク

あーなるほどねーと思ったのが、ボトムキャップの中にQuarter(25-cent coin)を入れることで、キャップがシャフトの角によって破れるという問題を解消してくれるというもの。日本だと5円玉とかのサイズかな?ハードメッシュを敢えて洗濯機にぶち込んで洗うことでBreakする手間を省き、安定させるなどという豪腕テクも。

2012年5月29日火曜日

Stick Dr. vol.04 合法的にスティックを短くする裏技

2010年12月19日

ここに来てILがえらくStick Drづいて来ている。当時職人(否、オタク)モード全開でスティックやポケットへの投下時間/労力量が半端無かった僕からするとこれ以上無いくらいオモロい読み物。

これまた、ほえー!なるほど!と思った技。ATで現役だった時代に、stick workを限界まで上げるための手段として、stickを短く出来ないかとよく考えた。規定ギリギリまでシャフトを切ってしまい、新しいヘッドに変えたら数ミリ規定オーバーでシャフトが使用不能に、なんてことも。90年代に流行った伸縮可能な特殊警棒みたいに、プレー中に「シャキシャキシャキーン!」と自在に長さを変えられないかなんて妄想してみたり。

こちらのテク、これまたコロンブスの卵な話だが、ボトムキャップ(butt end)を無視して、テープを巻き、エンドから数センチ上の部分に1センチ程の太さのテープをドーナッツ状に厚く巻き、ボトムの手前に「仮想エンド」を作っちゃうという技。実際にはこのテープで出来たハンドル部分をエンド的に引っ掛けて使うことになるので、実際の感覚としては数センチ短くなるという技。

リンク

厳密に言うとシャフトそのものは短くなってないし、ボトムへのLong stickによるチェックの回避率は別に上がらないが、まあ、そんなにピンポイントでボトムにチェックが入る事もそうそう無いし(リフトもスティックのボトムというよりもボトムハンドへの攻撃)、単純に扱うスティックが短くなることになるので、扱い易くなるはず。「キャッチ出来る範囲が若干狭まるじゃないか」なんて声も聞こえそうだが、いやいや、そんな片手でエンドを持って取れるか取れないかのパスを取るシチュエーションなんてシーズンに何回かあるか無いかだろうし、得られるリターンから比べればnegligibleじゃないかと。

ロングシュートというよりも、クリースやGLE/Xでの細かい動きと正確なスティックスキルを売りにしてるようなATの選手にとっては相当有効な技なんじゃないだろうか?

コメントで、「でもうちの地区ではエンドにキャップ(butt end)を付けないとイリーガルになっちゃう」という発言も。確か日本のリーグ戦もエンドキャップは無いとだめっすよね?とは言え、結局薄いエンドキャップを付けて、上からテープを巻いて、数センチ上に仮想ボトムハンドルを作っちゃえばリーガルな上、効果としては結局同じのはず。どうでしょね。試してみては。写真なんかなかなか上手く巻けてる。そこそこの幅で結構固く巻かないとズレちゃうと思うので注意が必要か。

実際にやってる選手

と、ここまで書いて、ふと思っていろいろ写真を見て気づいたが、よくよく見ると結構NCAAの有名な選手たちもやってるっぽいってことに気づいた。

●CornellのエースAT Rob Pannellもソフトにやってる。
●UNCのBilly Bitterも、あからさまじゃないがちょこっとやっている。
●おりょっ。DukeのNed Crottyもやってたんだ。気づかなかった。
●相方のQuinzaniもやってますな。これまたそんなに派手にはやってないが。

ってことは...ほぼ全員やってるじゃねえか!!ってことですな。逆にちらっと見た感じ、UVAのSteele Stanwick、去年のSyracuseのCody Jamieson、Stony BrookのKevin Crowley辺りはやってなかった。インドア出身の選手たちはがっつりエンドとスロートを持つスタイルなのであんまりやらないのかな?まあ、要は好みってことか。

さらにもう一歩いろいろ考えてみると...

アメリカ人の平均的な骨格(身長、wing span[リーチ])は日本人よりも一回り大きく、加えてNCAAのDiv 1クラスで活躍する選手になると、コンタクトスポーツで子供の頃から実績を残して淘汰されて来たエリート選手の集まりなので、アメリカ人の中でも更に一段大きい選手が多い(恐らくATの平均は180-185cmくらいじゃないだろうか。MLLだと185-190くらい?ちなみに小柄で細く見えるNed Crottyは188。Billy bitterでも183。USのDrew WesterveltやMike Leveilleに至っては193。)。

また、アメリカで球技をしたり、アメフト/総合格闘技を見ていると如実に感じられるが、日本人を始めとしたアジア人の骨格と比べると、一般的に彼らのwing spanは、身長に比して長い(要は手足が長い)。

従って、そもそも同じ標準の40 inchのスティックを持っても、日本人の感覚からすると1割くらい小さいスティックを扱っている状況。

それに加えて更に数%分スティックを短くしているということ。実質的には日本の平均的な選手とスティックの比率から単純比較すると、極端な話8掛けくらいの長さ「感」になってるということじゃないだろうか。ある意味おもちゃみたいなミニスティックを扱っているようなもの。圧倒的にプロテクションも持ち替えもキャッチもスローもやり易いはず。より「神経の通った自分の手」に近い感覚じゃないだろうか。

もし、今自分が使ってるスティックが10%分短くなったら...と想像してみると。結構プレーそのものが大きく変わってくるんじゃないだろうか。

2012年5月27日日曜日

日米ラクロス用語比較

2011年2月10日

ちと今回は特別編。どっかで一回まとめとかなきゃなと思ってたネタ。2ヶ月くらい前からちょくちょくストックして来て、大分貯まって来たのでアップ。

今後Michigan大学または別のオプションでラクロス留学する選手の皆さんのために、また、JPを始めとしてアメリカから来日するコーチの指導を受ける上で、またはもっと日常的にはNCAAやMLLのDVDを見る上でより深く解説を理解するために、という目的で、いくつか日米のラクロス用語の違いを紹介。僕が耳で拾った範囲での言葉を帰納法的に寄せ集めただけなので、抜け漏れ結構あるかもですが...随時新しい言葉の違いに気付いたら付けたして行こうと思ってます。

「三遊間」や「犠打」「併殺」など、戦前から日本の文化の一部として根付き、日本語の呼び方がある程度浸透/定着している野球等に比べると、25年前という比較的最近のタイミングで日本に輸入されたラクロスは多くの言葉を英語のまま転用しているため、ほとんどの言葉が整合している。が、そんな中でも、ごく一部だが日本独自の言葉が育っている(別に悪い意味ではなく、単純に違ってて面白い/海外に行ってコミュニケーションする時に注意が必要という意味で)。それはそれで日本独自のラクロス文化/素晴らしい個性だし、別に正解/不正解のある話でもないので、無理矢理変える必要性なんてなんら無いと思うが、単純にNCAA/MLLのDVDやwebsiteを見る際に、そして日本人以外の選手/コーチとコミュニケーションを取る時の為に理解しておくと便利かもという意図で。

(でもこの辺は選手の皆さんはもう散々MichiganやJPとやり取りする中で重々ご存知だから付加価値ゼロかも...)

* 日本と言い回しが違ったり、余り日本人がピンと来ないであろうものを中心にセレクション。逆に、Accuracy = 正確性みたいに、無茶苦茶頻繁に聴くが、高校/大学受験で普通にカバーされてる言葉や、trade-off = トレードオフやvision = ビジョン(視野)みたいに完全に日本語になっちゃってる言葉はいちいちカバーしてたらきりが無いので意図的に外してます。

1. 日米で呼び方が異なる言葉
(英語でコミュニケーションする時に注意が必要な言葉)

クロス→stick / lacrosse stick
  • Stick Dr.の記事でもちょっと触れたが、会話の中、メディアの表記の中で「Crosse」という言葉は実はほとんどというか、全く聴いた事が無い。Lacrosse stick、またはstickということがほとんど
  • NCAAのルールブック等では"Crosse"と表記されているし、年配の解説者の方が時々「He lost his crosse」と言ってるのを何度か聞いた事あるので、厳密な正式名称は「クロス」ということなんだろう。その後アメリカでは段々Stickと言う様になり、恐らく今の若い選手たちは殆どStickで統一されている様に見える。
  • 恐らく日本が輸入した当初、ルールブック、または「ラクロスとは」的な古典資料をそのまま引用して使っていたのが日本では名残として残ったんじゃないかと推察する
クロスワーク→stick skill / stick work
  • なので、「クロスワーク」は和製ラクロス英語ということになってしまう。アメリカだといまいちピンと来ないっぽい...
  • また、「クロスプロテクション」もstick protection
ロングレンジのスタンディングシュート/ロングシュート →Time and room / Outside shot
  • 相手のDFが詰めて来るまでに「間(Time)」と「間合い(Room)」があるシュート、という意味。
  • 恐らく日本語の「スタンディングシュート」は、「ランニングシュート」の対比として自然に言われ始めたんじゃないかと想像する。
ランニングシュート →Shot on the run
  • これも実は意外と「Running shot」とは言ってない
ワールドカップ→ILF World Championship / World Lacrosse Championship / WLC
  • 日本人的には4年に一回→サッカーW杯の感覚があってよりピンと来るが、アメリカでworld cupとは呼ばれているのはあまり聴いた事が無い。(Wikipediaのリンク
  • が、女子は何故かWorld Cupと呼んでるっぽい。なんででしょ?面白い。(Wikiのリンク
ナイスシュート/ナイスセーブ→Good/great shot/save
  • 何故か余りnice shotという言い方はあんまし聴かない。「いい」はシンプルにgood、という語感
  • "That was nice..."とか"Nice shot"(ほうっ。いいじゃんよ...)的なちょっと斜に構えたと言うか、肩の力を抜いた感じの言い回しが別途ある感じ
バウンドシュート/パス→Bounce shot/pass
  • 日本語だと「バウンドショット」だが、実は英語だとBoundとは言ってない
    メッジ/ビブス/ゼッケン→Pinny/Pinnies
    • 日本人的には全くピンと来ない英語だ…

    2. 単純に、英語で何と言うか&日本語だとどういう意味か
    (英語で言いたい時咄嗟に何と言えばいいか解らなかったり、英語の解説/記事でよく出て来るがいまいち馴染みの無い言葉。特に形容詞系は多分に感覚的な物が多くて面白い。)

    (クロスの)「引っかかり」→whip / hook
    • ムチとかしなりとか、その感覚のwhipを僕らが言う所の「引っかかり」の意味で使われている。Hookはそのままの感覚に近い。
    • I like a lot of whipとかI don't like too much whipとか
    • 面白かったのが、Dino (Matt Danowki: Duke-Long Island Wizards)がWarriorのstick stringing談義の中で、「自分はwhipという語感はちょっとネガティブな感じがして嫌いなので、敢えてポジティブな耳障りの"power"という言い方をしている」といっていたのが面白かった
    壁打ち→wall ball
    • これは以前記事で紹介した通り。どっちかっつうとそのままっすね。
    学年の呼び方
    • ま、これはMichiganとの付き合いもあるし、NCAA見てると百万回くらい目にするので多分ほとんどの選手の方がご存知かと。(超余談ですが、関西では「4回生」と呼んでたりして国内でも呼び方にパターンありで面白い。)
    • 1年生→Freshman
    • 2年生→Sophomore
    • 3年生→Junior
    • 4年生→Senior
    • 大学院生→Graduate student
    • 5年生→Returning Senior
    • 怪我や上級生との競合を避け一年登録せずに、2年から選手登録した1年生→Redshirt Freshman
    • それとの対比での本当の一年生→True Freshman
    Underclassman/Underclassmen→下級生

    Upperclassman/Upperclassmen→上級生

    ゴールライン→GLE: Goal Line Extended (ジーエルイー。)
    ゴール裏→X (エックス)
    • これは既に普通に日本でも使ってると思うが(僕は現役時代にMichiganのコーチに聴いて初めて知った)。バツマーク、即ちプレーがスタートするゼロ地点という意味だと思われる。トップではなくゴール裏をオフェンスのスタート地点と考える所にそもそものオフェンスの発想の違いを感じる。
    ゴール斜め前のエリア→"Five-and-five spot"
    • これもATのインストラクション等で時々耳にする概念。両ゴールポストから横に5 yards (4.5m)、前に5 yards (4.5m)離れた場所。インサイドロールを含めたダッジやシュート、カットの際のターゲットになったりと、オフェンスの戦術を語る上で重要なスポットになっている。ATのドリルでよくここにカラーコーンを置いていたりする。
    • こうやって漠然と「ゴール前」と呼ばずに、Xやら5&5やGLEと固有名詞を付けることで、重要さを意識させ、技術スキーマを強化している点が非常に参考になる。
    ラクロッサー→Laxer(ラクサー)

    ラクロス馬鹿→Lax rats
    • ラクロスネズミってことですね。ジムで一日中ウェイトトレーニングばっかりやってる「筋トレオタク」のことをGym ratsと呼んだり。結構アメリカだとratsに例えられる。
    • イメージ、中学/高校で教室でも常時スティックを持ち歩いて、暇さえあれば体育館の壁にボールをぶつけてる、ラクロス中毒者って感じだろうか。
    スパイク→Cleats
    • まあこれも結構日本でも使うかな?どっちかって言うと付け替え用の「鋲」をクリーツと呼んでいた記憶があるが、アメリカだと靴そのものをcleatsと呼んでいる
    努力→Hard work、努力する/一生懸命練習・トレーニングする→Work hard
    • つかこれラクロスっつかただの一般の英会話になっちゃうが...単純にラクロス会話の中で使う頻度が相当多いので...ああ、そうやって単純に言っちゃえばいいのねっていう
    努力すること/努力する能力/勤勉さ→Work ethic
    • これも無茶苦茶よく耳にする。全てのスポーツの世界で。そしてビジネスの世界でも。
    (主にフィジカルの)追い込み/特訓/追い込む→Torture(拷問/拷問する)

    ショートスティックの選手→Shorty

    ロングスティック/ロングスティックミディー→Pole (竿)/Long pole
    • "Shamel is the guy who always gets the pole"(いっつもロンミに付かれる)
    ロングスティックディフェンダー(LSMじゃなく)→Close(クロウス:近い/ギチッとした) defense
    • 聴いてると、どうやら「ボトム」/Long stickのDFの事をこう呼ぶ事が多いっぽい。
    右利き/左利き→Righty/Lefty

    • 試合中にゴーリーがDFに「He's lefty! He's lefty!(そいつ左利きだから左切れ!)」と言ってたり

    利き手→Dominant hand / Strong hand

    非利き手→Weak hand / Off hand

    カナダ人→Canadian/Canuck

    身体能力→Athleticism / Athletic ability / Fitness
    • これも別にラクロスに限らない英会話だが。NCAAの解説を聴いていても頻出する単語なので。Bratton兄弟の話になった時など特に。
    • He's a tremendous athlete.とかHe is so athletic.とも言う。His athleticism is outstanding.って言い方も聴いた事ある
    • (ちなみにオーストラリアでは"Natural ability"と言っていた)
    身体の大きさ、試合/選手としての当たりの強さ/激しさ→Physicality
    • または形容詞でphysical defenders
    守りやプレーが堅い/粘り強い/執拗な→Tenacious(テイシャス)
    • または名詞でtenacity
    堅いDF→Stingy(けちな)/tight DF

    ポジショニングの上手い/ポジショニング重視のディフェンダー/ディフェンス→Positional defender / defense

    やばい(すげえ)/ありえねえシュート(ちょっと口語的/俗語的な言い方)→Sick/Wicked/Crazy/Ridiculous shot
    • 日本語と同じで本来ネガティブな言葉を「超いい」というニュアンスで
    素晴らしい/超いい/驚異的な→Phenomenal / Tremendous / Significant / Outstanding

    リーチ(両手を広げた幅)の長さ→Wingspan

    DFなどがリーチが長い/守備範囲が広い→Rangy(レインジィ)
    • Rangeの形容詞
    グラウンドボールなどに皆で「寄る」→Swarm

    クリース前を固める/絞る→Pack (the crease)

    試合の流れ/チーム間の「波」/「勢い」→Momentum

    Dのチェックがどん決まりし、吹っ飛びながらぐるんぐるんに回転するスティック→Helicopter

    (ダッジやショートレンジのシュートのために、またはロングスティックがボールを確実に扱うために)スティックを短く持つ→Choke up(窒息させる/詰める)the stick
    • これ、ATのインストラクションなどで頻繁に聴く。スティックのネック(首)を持つので
    FOGO: Face off and get off→フェイスオフスペシャリスト
    North-south→縦に直線的にゴールに向かうダッジ。一般論としてこっちの方が理想とよく言われている。

    East-west→横に動いて相手をずらすダッジ

    Finalizer(これも普通にそのまんま日本で使ってるか...)
    • クリース裏での切り返しにより、相手DFをゴールの後ろのネットに引っ掛けることで抜く技。
    • 2000年前後にSyracuseのRyan Powellによって一般的に認知されるようになった。
    Time and room (space) shot→アウトサイドシュート/ロングシュート

    メットの後ろからこぼれる後ろ髪→Flow
    • どーでもいい話だし多分ほとんど使うこと無いけど...
    ジムに行く/飲みに行く→Hit the gym/bar

    3. そもそも日本ではあまり聴かない言葉/存在しない概念

    特にNCAAを中心に独自の仕組みに基づいて初めて見ると良く理解出来ない要素がいくつかある。いくつかピックアップして紹介。

    Redshirt
    • 元々アメフトの言葉のはず。1年目に選手登録をしないこと。赤シャツを着る、という表現をする。その場合、大学的には2年生でも、ラクロスフィールド上では1年目の選手として"Redshirt freshman"と呼ばれる。
    • 日本でも同様だが、大学でプレー出来る年数は4年に限定されており、能力のある1年生が、上級生にスーパースターがいて試合に出られない時に敢えて1年目を棄権して5年生までプレーするという戦略的な選択をすることがある。また、シーズン前の怪我でシーズンを通してプレー出来ない事が解っている場合も同様の措置を取る事が有る。選手にとってもチームにとってもより柔軟にプレー出来る期間を選択出来るし、怪我というアンコントローラブルなファクターで1年無駄にするという状況を避けられるので個人的にはこの仕組みには賛成。
    Transfer→転校
    Post grad

    Returning senior
    • 2回目の4年生。つまり5年生。Redshirtや怪我による棄権があった場合に、敢えて卒業しないでチームに帰ってくるケース。また2010年のDukeでは無実のrape scandalによる棄権の救済措置により多くのreturning seniorがいた。
    • 明確にラクロスをやることを目的として大学に来ている選手も多く、怪我等で1年出られなかった場合、結構の選手がもう一年残って4年間の権利を使い切りたいというケースが多いようだ。
    • また、どうせ1年を使うなら何らかの大学院に行って(場合によってはaccelerateで1年で卒業というのも含め)試合に出るというケースもある。その場合学年欄にはGrad (Gradiate school student)と表示されている。
    Ranking/Poll(投票)
    • この辺がNCAA独自の仕組み。Div 1は61チーム、8つのカンファレンス/リーグから構成されている。日本のリーグ戦と違い、カンファレンス/リーグ内の総当たりだけではなく、カンファレンス外のチームとも試合をする。かといってDiv 1内の全てのチームと直接対決をすることも出来ない。
    • そこで、Div 1全体の順位に関しては、実際の勝敗やパフォーマンスを受けて、コンピューターを使った統計と記者による投票を合わせて決めるメディアポール、またコーチの投票によって決めるコーチポールといった、合わせ技で決めることになる。なので、勝ち点、得失点差でバチッと文句無く決まる仕組みと違い、順位については常に議論が巻き起こる。ま、それもまた面白さの一つなのだが。
    • ILのランキングページ
    Strength of schedule (SOS)
    • これが結構NCAAの解りにくい概念。プレーオフ進出チームを決める際に、単純な勝敗数だけではなく、そもそも対戦した相手の強さも勘案する。弱小校ばかりに10勝するより、上位校に5勝した方が価値がある、という補正措置。その際の対戦相手の顔ぶれ
    Tewaaraton trophy(テワラトン・トロフィー)(リンク
    • NCAAのMVP。2001年から始まった。男女各一人。TewaaratonはNative Americanの部族Mohawkの、今のスポーツとしての形のラクロスの創始者、及びそこから取られたラクロスの呼び名らしい
    X's & O'x(エクスィズ・アンド・オウズ)
    • これは別に頻出単語じゃないが...コーチがスコアボードに描くオフェンス/ディフェンスの○と×のこと。転じて戦術論。普通にstrategyやらtacticsとか言うが、時々beyond the X's and O'x(戦術を越えた部分)などと言った言葉を聴く。まあこれも別にlacrosseに限定された言葉じゃなくバスケ等でも聴くが。
    Hand-eye coordination
    • これ、何故かアメリカでラクロスに限らずスポーツで凄くよく聴く言葉/概念。直訳すると「手と目の連動/協調性」...つまり、目でしっかり情報をキャッチして、それに応じて手を正しく/効率よく動かせること。DFのチェックで大事なのは?とか、stick skillって要は何なの?という質問に対して、一流選手達が「要はhand-eye coordinationだ」と決まり文句の如く答えているのをよく聴く。日本語でこれをバチッと表す一語が無いが故に非常に面白いなと思った次第。

    現時点ではとりあえずそんな感じで。他にあれば随時追加して行く予定。この辺の頻出キーワードを抑えておくと、一気にDVDの解説も解るようになるはず。

    4. 情報ソース

    今まで見た中で最も体系的にラクロス用語がまとまっている、e-lacrosseのlacrosse dictionary(リンク)。

    いたる@13期

    2012年5月26日土曜日

    NCAA Tournament 2012 Quarter Final Duke vs Colgate

    準々決勝最終戦。Duke-Colgate。

    ColgateはPatriot Leagueを気合いで優勝し、トーナメント出場権をもぎ取り、一回戦で無敗の全体6位シードのU-Massを接戦で破った。

    結果はDuke圧勝。粉砕。1Qこそ4-4だったが、相手を完全に把握した2Qに7-0で前半終了時11-4とし、最後は17-6(スコアボード)。なかなか準々決勝でここまでの大差の試合は珍しい。

    Duke強し。穴が無い。そして言うまでもなく、#26 Rob Rotanz (Sr), #7 Jake Tripucka (Jr), #12 Justin Turri (R-Sr)のMF 1st Line 3枚がでか過ぎる&身体能力高過ぎる&上手過ぎる。こんなんLSM 3枚いないと止められる訳ねえ。このうち二人がShortyになると確実にそこから余裕で抜かれてぶち込まれる。

    ほぼ全員が体育推薦で入って来るNCAA Division 1トップ校は、ある意味日本の感覚で言う所の体育推薦で固めている私立の体育会に近いイメージ。例えば早慶の野球部、明治や帝京のラグビー部、日体大のバスケ部、日大や法政のアメフト部みたいな(この辺の裾野の広さと選別の厳しさ、結果として残った素材のレベル感が日本の大学ラクロスとの根源的な違いだと感じる)。そんな中にあって尚最も「体育会感」で一歩抜きん出ているのはやはりACC 4校。更にその中で明らかに頭一つ出ているのが今年のDuke。今回の試合でも典型的な「素材の違い」を見せつけられた。

    これでDukeは06年のレイプ冤罪事件後にHCがJohn Danowski氏になって以来なんと6年連続のFinal 4進出。ここ6年間では恐らく最も安定して成功しているチームと言うことになる。(優勝回数ではSyracuseが08、09に連続優勝しているが、一方で07年はトーナメント出場を逃し、10年は一回戦負け、11年は準々決勝負け、今年も一回戦負けなので、トータルではDukeの方が上だろう。)


    ColgateのPeter Baum

    一つだけ強く印象に残ったのは、'GateからTewaaraton Trophy最終候補5人に残っている#15 AT Peter Baum (Jr)。リーグ戦66得点、30アシストの脅威の96ポイント...。ダントツの得点王&ポイント王。NCAA上位校の選手たちの間でもやばいと噂になっていると聞いたが、見て納得。

    解説者のQuintがPodcastで、ダッジのキレやシュートレンジ等の攻撃力はMark MillonやMatt Danowski、またはNed Crottyを彷彿させると言っていた。が、試合開始直後のプレーを見て確信。ホントだわ。「爆発的」ダッジ力、そして外から鋭く決められるシュート力。

    が、その後Duke DFの徹底Face Guardに遭い、結局その1得点のみ。やはり一人だけ傑出した選手が中堅校にいるとこうなって止められてしまう...

    が、まだ3年生。来年がある上、明らかにMLLで活躍出来る才能を持っている。これまでColgateにいたが故に殆どファンのレーダーに引っ掛かって来なかったが、今回で一気に名前が轟いた。今後が楽しみな選手。(MLLやUS代表では、U-Mass出身のMark Millon、同じくU-MassのKevin Leveille、そしてUMBCのBrendan MundorfやDrew Westerveltなど、実は名門校出身者以外で大黒柱として活躍するATも多い。)

    Hot Bed以外の地域出身者

    面白いのはBaumの出身がLacrosse Hot Bed(苗床/優良選手輩出地域)の東海岸Maryland州BaltimoreやNY州北部やLong Islandとは全く違う、西海岸の北、Oregon出身であるという点。

    最近のNCAAラクロスでは本当にリーグのトップクラスに西海岸や中西部、南部、東海岸の南など、伝統的ラクロス地域ではないエリアからの出身者が尋常じゃ無く増え始めている。今年のNCAAトーナメントは正にそれを象徴するように、Oregon出身のBaumや、Florida出身のMaryland LSM Jesse Bernbardt、Georgia出身のLoyola LSM Latriff、California出身のVirginia #24 MF Rob Emery (Jr)ら、文字通り全米各地出身のエリートアスリート達が舞台の中心で活躍し始めている。

    今アメリカで最も爆発的に普及/拡大しているスポーツであるラクロス。競技人口は過去10年で3倍に成長している。トップレベルの争いはより熾烈になり、高校強豪校、NCAA D-1、MLL、US代表とスクリーニングされて残って来る選手たち想像を絶するCompetitionとScreeningを経て、バキバキに磨き抜かれた 隙の無いアスリートになってきている。

    最も強かったアメリカが最も進化しているというこの事実。そしてその進化/普及を意思を込めて、戦力的/意識的にやっているという恐ろしさ。

    Final 4

    さて、これでFinal 4は、Maryland vs Duke、Loyola vs Notre Dameの組み合わせ。

    僕のFinal 4予想で当たったのはDuke 1チームのみ...

    懲りずにまたここからのシナリオを予想すると
    • Maryland-Dukeは、気持ちとしてはMarylandを応援したいが、やっぱりDukeのDF力と地力でDuke。
    • Loyola-Notre Dameは、Loyolaに頑張って欲しいけど、やっぱりNDのDF/Gは鉄壁過ぎるのと、今年のNDははっきり言ってOFも強いので、ここはND。そもそもVirginiaに真っ向勝負で勝ってるし。
    • で、決勝は何と2年前の決勝の再現で、Duke-Notre Dame。多くのファンが「今年こそはND!」と盛り上がるも、意外とあっけなくDukeがボコって結構大差でDukeが再び勝って、2度目の優勝、と。Foxboroughの会場でしかと見届けたい。
    てな感じじゃないかと。一番無難な予想だけど。LoyolaがNDに勝ったりするとシンデレラストーリーキターッになって俄然面白くなって来る。

    また、もしMarylandがDukeを喰えば一気に「祭り」って事に。

    ってことは、Tewaaraton Award (MVP) Raceは現時点で残ってるチームの二人、LoyolaのAT SawyerとDukeのLSM CJ Costabileの一騎打ち。Dukeが優勝すればCJと言う事に。もしそうなればTewaaratonの12年の歴史の中で初のDF選手による受賞。


    Highlight

    2012年5月25日金曜日

    NCAA Tournament 2012 Quarter Final Notre Dame vs Virginia

    ぶほっ!!!マジかっ!?予想完全に外れたし。Notre Dameが接戦の末堂々とVirginiaを捩じ伏せきった...ホントすか...?これでここまでワタクシのFinal 4進出予想は3つハズレ。HopkinsがMarylandにやられ、VirginiaがNotre Dameにやられ、UNCに至ってはDenverにやられた上に更にそのDenverはLoyolaにやられた...かすりもしてねえ...

    いや、しかし、ここまでの堂々の勝利を予想してた人も少ねえだろ?

    これでNotre Dameは2010年に続いてFinal 4に進出。これはもう本物だ。組み合わせに恵まれた前回と違い、今回は優勝候補筆頭のVirginiaを破っての堂々の進出。もう「けっ。まぐれだろ?」と言う人もいないだろう。完全にラクロス強豪校としての地位を確立したと言い切れる域にまで達して来た。

    (メットも2010年の決勝でのRiddellからCascade Pro7になってカッコよさを梃入れ。ユニフォームも当時の紺+黄土色からゴールド主体に変えて、ビジュアル的にも上位に入ってきている…)

    まさかVirginiaがここで負けるとは思っていなかった...#6 AT Steele Stanwick, #10 AT Chris Bocklet, #34 MF Colin Briggsら4年生がもうこれでNCAAでは見られないと言う事に、これまで全く思考を巡らせていなかった...余りにも唐突過ぎる。

    しかし、冷静に思い返すと、納得だ。正直。まぐれでも何でも無い。実力だ。
    • Notre Dameの鉄壁DFは引き続き健在。まず個で抜けない。本当に。変なチェックを絶対に投げずに脚で付いて行く。角度とポジショニングで闘う。カバーが出たら速攻で全体がアメーバのように連動し、また元の状態に戻る。あのVirginiaを持ってしても攻めあぐねていた。(もちろん、それでもこれだけ点を取るVirginiaはやはり本当に凄いが)
    • あとはやっぱり2年目と同じ勝利の方程式の必要不可欠なパーツ。Goalie。#3 Jon Kemp。兄貴はMLL Goalie。2年前はCaptain Scott Roggersのリーダーシップを見ている。マジで鬼の様にえげつないシュートを涼しげな顔でキャッチしまくり。
    • 明確に2年前のチームと違うのは、①OF全体の選手層が厚くなっている事、②2年前は完全にただの繋ぎ役だったAT 3枚が明らかに強力な得点源になっている事。特にATの進化/成長には目を見張る物がある。1年生のColin Doyleも落ち着いてて技術も高くて視野も有って大したもんだ。
    試合中、Virginia DF得意のダーティーなレイトヒット&Helmet to helmetの悪質なハイヒットによりMan Down、及び2度目は相手選手を失神&担架で退場させてしまった。ラクロスの危険さを忘れた頃に再認識させられる。Virginiaは一昨年もUNCのBilly Bitterを失神KOさせていた。どうもイメージが良くない。Late hitによって相手の主力を「壊す」事を試合中の当然のカードとして使っている感がある。間違い無く今後批判が噴出するはず。

    さて、これで準決勝はLoyola-Notre Dame。今年のシーズンを間近で見ていないファンが名前だけ見たら「は?それオモロいのか?今年のNCAAレベル低いんじゃね?」という反応になりそうだが、ここまでがっつり試合を見た自分には自信を持って言い切れる。「いや、申し訳無いけど、クソレベル高いよ。」と。要は、そういう時代になってしまったと言う事なんだろう。もうVirginiaやPrincetonやSyracuseやHopkinsが当然の余裕しゃくしゃくでFinal 4に毎年のように出て来られる、という時代はとうの昔に終わってしまったと言う事だろう。

    10年間で競技人口が3倍に膨れ上がり、東海岸の一部だけでなく全米の高校にラクロス部が乱立されつつ有る。結果、優秀な選手のパイが大きくなり、一部の伝統的強豪校のみに独占される事無く、広く中堅校にまでかなりのレベルの素材が行き渡り初めており、素材の時点での差がどんどん小さくなって来ている。結果、NDのCoach Corriganなど実力のある若いコーチが伝統校を年によって脅かすという現象が頻発し始めている。このスポーツが発展して行く上で、極めて健全な、成長と成熟の結果。ますますNCAAラクロスから目が離せなくなって来る。

    Highlight

    2012年5月24日木曜日

    NCAA Tournament 2012 Quarter Final Loyola vs Denver

    もう熱過ぎて何も言えんわ...今年のQuarter Final(準々決勝)。MarylandによるHopkins撃破に続いて、Loyola-Denver。

    言葉じゃ決して伝えられないが、とにかく、最後まで手に汗握る展開。最後の最後まで勝敗の解らない接戦。ギュッと締まった、素晴らしくレベルの高い試合。そして驚きと感動に満ちた試合だった。満腹。

    にしても、結構毎年Final / Semi Final以上に、Quarter Finalにその年の最も熱い試合が数試合出て来るな...

    因縁の対決。ECACのレギュラーシーズンに一回、ECACのカンファレンストーナメントの準決勝で一回既に闘っており、共にLoyolaが辛勝(12対9、14対13)。Denverは三度目の正直に掛ける。

    Loyolaは今年ここまでHopkinsへの惜敗のみ。全体ランキングで堂々の1位。相当強いらしいと言う事は何度も聞いていた。が、今回初めて全国ネットのTVで目撃した。

    見て、正直感動した。Loyola、強い。はっきり言ってレベル高い。

    一言で言うと、「役者が揃っている」。主役から脇役まで、かなり基礎のしっかりしたタイトな布陣が揃っている。

    例年のように、「中堅校の雄」という感じではない。毎年「あー、いい線行ってるんだけどねー。ちょっと一段スケールがねー」という印象だったが、今年は、サイズもあり、身体能力も上位校に引けを取らない。強い個性のあるメンバーが各ポジションにズンッとっと控えている。

    試合は試合開始直後にLoyolaが連取し、前半終了時点で6-4。またLoyolaがこのまま持って行くのか?と思われたが、そこからHC Bill Tierney氏の檄を受けてDenverが奮起。#22 AT Mark Matthews (Sr. MLL一巡目指名で来年からDenver Outlaws)がまたしても度肝を抜くプレーを複数繰り出し、他のCanadian軍団も爆発。試合終盤に一気に追いついた。

    が、最後にLoyolaが高い完成度のDFとOF、そして極めて落ち着いたメンタルを見せ、ギリギリで追い上げを交わして10-9の一点差で三度目の勝利。99年以来12年振りのFinal 4進出を決めた。(スコアボード

    まあ、Loyolaはいい選手多い。これまで多くの上位校から高い評価を受けていたのにも頷ける。(ロースター
    • エースでTewaaraton Trophy Finalist(シーズンMVP最終候補)の5人に残っている#4 AT  Mike Sawyer (Jr)が凄い。抜けるし、フィード出来るし、シュートも外から決められるし、プレーが賢い。こんないい選手が今までテレビに出てなかったんかい...
    • かなりいいらしいと言われていたLSM #2 Scott Ratliff (Jr)がこれまた凄い。機動力とチェックで落とす力、ターンオーバーでを発生させる力、オフェンスコートで得点までを生み出せる力、FOのウィングで確実にボールを取る力。どれを取ってもトップクラス。こんないい選手が今までテレビ放映に載って無かったんかい...どうやらお父さんが元MarylandのAll American DFで、ラクロス後進地域Georgia州で育ったため、リクルーティングに気付かれるのが遅かったとの事。高校時代はClose DFで守り、OFになったらベンチにダッシュしてShortyを持ってオフェンス参加するという鬼のフル稼働をしていたとの事。いや、解る。すげえ器用。 
    • あと、何と言っても特筆すべきは#12 AT Eric Lusby (Grad Student = 院生)の左のスナイパーっぷり。半っっっ端ねえ。何度打ち抜いた?5得点。スペースちょっとでも空けたら終わり。取ってから速い。一瞬でポイントを打ち抜いてくる。何度も反復して映像を見てシュートを真似したい。
    • #24 G Jack Rankel (So)が、でかい...191cm/98kg。壁の様にゴール前を塞いでいる。ポジショニングがよく、ニアを確実に密閉しているため、きつい。加えて反応も速い...
    • ドレッドヘアをメットからごっそりはみ出させている#5 MF Josh Hawkins (Jr)の中盤の要っぷりもまた素晴らしい。頑丈。タフ。スタミナ無尽蔵。フィールド中を駆け巡って、拾って、運んで、相手を倒して。

    Denverは残念。2年連続のFinal 4進出は叶わなかった。やはりDFの弱さが出てしまった。クリアでのターンオーバーも目立った。今年で#22 Mark Matthews, #33 Alex DemopoulosのCanadian ATコンビは卒業。来年以降どういうチーム作りになって行くんだろうか?ま、大丈夫でしょ。MFを中心に強い選手、特にCanadianが控えており、GもFausがまだ2年ある。今後もTierney氏の下でプレーする事を臨んで多くのエリート選手が高校から継続的に集まってくる筈。特にCanadaと西海岸、西部、南部から強い選手を集められるとすると、下手したら伝統的強豪校以上の才能を集める可能性もある。今後も引き続きFinal 4を脅かし続けるはず。

    いやー、にしてもLoyola、手堅くFinal 4に残って来た。ここまで来たら優勝まで突っ走って欲しいという気持ちも強い。


    Highlight

    2012年5月23日水曜日

    NCAA Tournament 2012 Quarter Final Johns Hopkins vs Maryland

    いやー...すげえわやっぱ。NCAA。感動した。試合見終わって15分経つが未だに脳幹が若干痺れて呆然としている。

    驚きと感動を与え続けてくれる。予想を裏切り続けてくれる。毎年Quarter Final(準々決勝)4試合のうち数試合がシーズンを代表するいい試合になってくる。

    今回は準々決勝4試合の一発目。第二シードのHopkinsとシード無しで一回戦ギリギリでLehighから逃げきったMarylandとの対戦。

    実はレギュラーシーズンではMarylandが勝っていたが、シードの順位やレギュラーシーズントータルの成績から、そして往々にして力の近い2チームが再戦する場合、最初に負けたチームが修正して気合いを挑んで臨む為勝つ事も多く、「まあHopkinsが無難に勝つっしょ」、と言うのが大方の見方だった。

    それが、どうでしょ。

    ボッコボコにMarylandが圧勝。いや、マジで陵辱と言うか、惨劇と言うか。全ての局面で圧倒して、カモって、文句無しの勝利。Hopkinsをスタンドでベコベコにして、タックルで両足テイクダウンして、パウンドで鉄槌を撃ち落としまくり、最後に文句無しの裸締めで失神一本を取ったイメージ。衝撃の11-5。(スコアボード

    マジかよ。これでMarylandはCoach Tillmanになってから2年連続でFinal 4。去年準優勝後に22人の4-5年生を失い、今年は出直しと言われてたのが...すげえ。このチームは明らかに何かが一つ突き抜けて違う。

    何が起こったか。

    端的に言うと、①そもそもHopkinsを倒す為にデザインされたようなチームだった、②準備勝ち、の2点だろうか。

    ①まるでHopkinsを倒す為にデザインされたかのようなチーム
    • これ、解説者の元JHU All American Goalie Quint Kessenich氏の分析。レギュラーシーズンの試合から再三指摘していた。要は、単純な強弱以上に、マッチアップ/組み合わせ/じゃんけんの組み合わせ的に、HopkinsにとってMarylandは最も苦手とする相手、天敵である、という点。具体的には、
    • 第一に、攻撃の全ての起点であるMFオフェンスに対する、MarylandのMF DFが異様に強いことLSMの#36 Jesse Bernhardt (Jr)の機動力/走力/スタミナが尋常じゃねえ。気合いで脚で並走して、相手を更に越えて走り、やらしさの極みにあるチェックをねちょっと打って来て落とす。Shorty DFも堅い。従って、ATのダッジ力に欠けるHopkinsが完全に攻められなくなる。と言う事が今回も完っ全に再現された。
    • 第二に、FOの強さ。Hopkinsは去年エースFOGOのDolenteが卒業してMLLに行った事で、明確にFOの穴埋めが課題と言われていた。シーズン中はそこそこ善戦していたが、MarylandのFO Curtis Holmesが強かった。FO支配率60%。Hopkinsが攻める機会確実に減らした。
    • 第三に、徹底したポゼッション重視。Set OFでねっちりみっちり時間を使ってピックを多用して、やらしく最後にフリーを作って打って来る攻め。これをやられるとHopkinsはキツい。MFがOF/DF両面使いをやっていることもあり、主力のMFが消耗して何も出来なくなる。

    ②準備勝ち
    • 明っっっらかにHC John Tillman氏の賢いスカウティングと戦術の準備がハマっていた。
    • 攻撃は二つの波に徹底してフォーカス。具体的には、一発目のFast & Slow Break、そしてだめだったら完っっ全荷切り替えて、ゆーーーーっくりボールを回して、攻める前に確実に1-2分時間を使い、Stallingの警告を受ける所までボールを回して、Stallingを受けても尚辛抱強くボールを回し続けてDFが疲れてコミュニケーションが甘くなり始めるまで待ち、そこからグッと踏み込んで点を取りに行く。ピックを繰り返して、ボールを動かして、崩してから2本以上パスを繋いで、確実に点を取れるシュートを待つ。結果、相手にほとんど攻める時間を与えない。
    • ライドでの中盤から自陣リストレイニングラインに掛けての鬼プレッシャー。JHU MFが中盤でボールを貰って、振り返ったら二人に囲まれててバツッと落とされるケースが複数回発生した。
    • DFでのプレッシャーとストレッチ。DFの機動力が相手OFのそれをを明らかに上回っている事を利用し、ガンガンプレッシャー。で、それを逃れるパスを確実にスティックアップして狙って奪う。面白いようにハマっていた。
    • で、これらがハマり、終始Hopkinsは「あわわわわ...」「ドカーン!」のターンオーバーの繰り返し。結局らしさがほとんど見られぬまま、いやそれ以前にほとんどOFをする機会を与えられる事無く終わってしまった。
    • やらしさを感じたのは、DF MFじゃない1st LineのMFたちがDFに帰った時に、そこからピックを掛けてコミュニケーションミスを起こさせて点を取っていた所。そして、ずーっとボールを回してとにかくDFを疲弊させて両手のガードが下がって来た所で打ち込む、という攻めを徹底していた点。
    という訳で、全体的にHC John Tillman氏のコーチとしての実力の高さを如実に感じさせる試合だったと言える。しっかりロジカルにゲームプランを込み立てて、完璧にそれを遂行して、それがバチッと狙い通りにハマって、バカ勝ちしたという。


    感想
    • 試合が終わって、呆然とするHopkinsの選手たち、ベンチ、Coach Petro、そしてファン。今年こそはと言われていた。実際にレギュラーシーズンでも、これまで何年も負け続けていたVirginiaに勝ち、Princetonに勝ち、Syracuseに勝ち、全体で2位シードを獲得した。Rabil-Peyserで優勝した07年以来の優勝を狙えるとすら言われていた(し、僕も優勝有り得るなと思っていた)。が、今年もまたFinal 4にすら到達出来ずに潰えてしまった...正直ショックだ。これで09年から4年連続でMemorial Day Weekend (Final 4)に到達出来ていない...
    • もう、このオールドスクールのMFの突破力で崩す事から全てが始まるスタイル、1st Set MFがOFもMFもやるという頑固なまでのold schoolへのこだわりは、最早現代のラクロスでは通用しなくなってしまったのか?トップレベルのDFをダッジで抜けるATが一人もいない、ATはつなぎとゴール前のフィニッシュに専念という役割分担で組み立てられた布陣では、もうトップレベルの試合で、特にトーナメントの後半で競った局面で勝つ事は難しくなってしまったんだろうか?ここまでRabil-Peyserが引退してからの4年間を見て、特に今年リーグ戦では勝てても最後にプレーオフで強豪と当たった時に勝てなかったHopkinsを見ると、残念ながらその思いが確信に近いものになってくる。
    • Hopkinsは今でもラクロス界最大派閥。地元Maryland州BaltimoreはLacrosse総本山。卒業生もファンも含めると、恐らく未だに最もファンの多いNCAAチーム。今回の敗戦でショックを受けている関係者/ファンも多いはず。優勝の期待が持たれていたにも関わらず、レギュラーシーズンでかなり上手く行っていたにも関わらず、そしてMarylandには一度負けており修正のチャンスが有ったにも関わらず、為す術も無く撃沈。ファンや関係者の間で一大論争が巻き起こる事だろう。今年ここまで影を潜めていた「Coach Petroのスタイルとリクルーティングじゃもう今の時代優勝出来ねえ」論が再び再燃するはず。
    • Marylandはすげえわ。マジで。やっぱり何が一番好きかって言うと、チーム一丸となって作り上げるあの「狂乱の祭り」の雰囲気。点を取るごとにベンチの全員が抱きつき合って、お互いに頭をどつき合いながら喜んでいる。ただのフーリガンになりきっている。が、ぶっちゃけクソ楽しそうだ。そして、そのエネルギーをチームとして増幅し、フィールドの選手たちがセルフイメージを大きくする事で発揮されるパフォーマンスを数段高めている。とにかく見てて楽しいし盛り上がるし、応援したい気にさせられる。この伝統がある限りこのチームは間違い無く強くなり続けるはず。よし...Final 4ではMaryland押しで行こっと...
    Highlight

    2012年5月22日火曜日

    松井vs松坂 @Minor League

    日本のメディアでもちょっとだけフィーチャーされた、先週の松坂vs松井のAAA(マイナーリーグ)での対戦。松井の所属するRaysの下部組織Durham Bullsが地元だったため、見に行った。
    肘の手術を経てリハビリ中の松坂選手。敢えて2軍のPaw Soxではなく、一人だけ本番を意識してRed Soxのユニフォームで登板。最初と最後に打たれたが、それ以外はそれなりに投げられていたように見えた。
    松井選手は、ここまで全く打撃がパッとしていない。今回も無安打。
    共にアメリカで闘う日本人として、世界の舞台で闘って来た日本人選手として、復帰して活躍して欲しい。



    2012年5月21日月曜日

    NCAA 2012 Midseason Highlight

    2012年シーズン前半のハイライト集。毎年NCAAのハイライトをYoutubeに載せているJLProductionsから。

    こうやって見ると改めて沢山のスーパープレーが思い出される。

    2012年5月20日日曜日

    NCAA Tournament 2012 1st Rd Maryland @Lehigh

    もう一つの一回戦。強く印象に残った試合。毎年8試合中数試合ある、激戦、そして心を打つドラマ。今回のMaryland vs Lehighは正にそういう試合だった。

    Lehighは以前UNCへの勝利でも触れた通り、新進気鋭の元US代表選手(2006, 2010)&監督Kevin Cassese氏(Duke 03, 元MLL)に率いられ、一気にランキングを駆け上がった昇り龍。これまではただの中堅チームだったのが、ここ数年で強い選手を集め、トップ校としての実力とプライドを植え付けられ、急成長を見せている。

    試合前のロッカールームでのCasseseコーチの言葉が印象に残る。「いいかお前ら。今年のシーズンのここまで、全てのラクロス関係者は俺たちの事を強豪として見て来なかった。それでも俺らはそれをはね除けて、上位に残った。でも、未だに俺たちの事を認めてないやつらがいっぱいいる。ここまで来ると、それはもう俺に取ってはPersonal(俺個人への侮辱)だ。今日、ここでMarylandぶっ倒して、世界中に俺たちが正しかった、俺たちの事を認めてなかった奴らは間違ってたって事を証明してやろうや!!!」。アチい...この人の下でプレー出来たら楽しいだろう。このチームは今後絶対に強くなると確信させられた。

    試合が始まって再確認させられたのが、Lehighのレベルの高さ。サイズと身体能力と基礎技術という個々の素材の面で、ぶっちゃけMarylandに引けを取っていない。ACCクラスの人材を十分に集められていると言う事。

    AT/MFの突破力、シュート力共に完全に上位校のそれ。特にKyle Stiefelのロングレンジのシュートは鼻血出そうになる。明らかに国内トップクラス。(UNCの時にも彼に何度もやられた。)

    GoalieのMatt Poillonが相当レベル高い。明らかに巧い。UNC戦でもバンバン止められた。今回も16セーブ。

    3Qまでで8-6とLehighがリード。

    が、最後にMarylandが意地を見せた。4Qは4-1で完全に支配。最後に残り6秒で頼れる4年生エース#19 AT Joe Cummings (Sr)が気合いで捩じ込み、逆転サヨナラ勝利。何とか2回戦進出を決めた。

    Marylandは相変わらずチームの雰囲気が素晴らしい。間違い無くその点に於いてはNCAA No. 1。ベンチの盛り上がりっぷりが祭り以外の何者でもない。このチームでプレー出来たら絶対に楽しいし、こういう競った局面でのチーム全体としてのメンタルの強さが発揮されて来る。それによって一人一人が本来の実力以上の輝きを放つという現象が起こっている。トーナメントではそういうチームが強い。2回戦ではHopkinsとの再戦。前回は勝っている。下馬評ではHopkinsが上だが、今回の後半のパフォーマンスを発揮出来れば今回も勝つシナリオは充分に有り得る。

    一方のLehighは本当に残念。Kevin Cassese氏も最後の最後に逆転された事で呆然。ショックを隠しきれない。が、心配する必要全く無しだ。来年以降一気にトップ争いに参戦してくる事は間違い無い。今年の活躍とCassese氏の情熱と実力にやられた優秀な高校生選手たちが今後Lehighを目指すことになるはず(Lehighは学問的にも結構レベル高いので集客力はある)。今後がただただ楽しみなチーム。MarylandのJohn Tillmanコーチと共に今後のNCAAラクロスを20年間引っ張って行くコーチの一人だろう。

    Highlight

    2012年5月19日土曜日

    NCAAでの映像の利用の仕方

    2011年3月27日

    NCAAでの映像の利用

    時々超面白い&役に立つ記事を書いてくれているILのInstructional Archiveの中で、丁度数日前、特に印象に残った記事があったのでピックアップして紹介。

    "Watch Game Film Like a Seasoned Pro"。試合の映像をどうやって見るべきか、という話。(リンク

    いろんなNCAAラクロスの記事やインタビューに触れる中で感じることの一つに、この映像利用の徹底がある。というか、ラクロスに限らず、あらゆるスポーツに於いて、アメリカはこの辺の映像利用では非常に進んでおり、徹底していると感じる。大学の施設の話をする中でも、スタジアム、ロッカールーム、ウェイトトレーニングルームと並び、このfilm roomが非常に重要な施設の一つになっている。そして、コーチングスタッフ/選手ともに、結構な時間をそこで過ごしているっぽい。特にコーチのコミットメントが凄い。フルタイムでやっていることもあり、相当何度も映像を繰り返して分解しきっている印象を受ける。

    以下の記事、HopkinsのCoach Petroが実際にfilmを見て相手や自分たちを分析しているコメントが非常に面白い。なるほど、このレベルでやるのねと。

    Face Off ClassicでのDave Pietramala。アメリカで人気だった、現代社会に生きるイタリアマフィアの末裔の日常を描くシュールでリアルなドラマ、Sopranosの主人公、ドンのTony Sopranoに超似てる...(と、思ってたら、正に今月号のILにそのネタがフィーチャーされてた...)

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    “Now, bad job right here. The ball we know is moving clockwise, and we know it’s going here [to the left side]. This guy,” he says, circling the longpole, “is our support guy, our hot man. He should be starting to cheat over here, so the slide angle is inside out and a shorter slide. He’s starting to drift, and I’m going to say I guarantee that’s a freshman.”

    It is. Matt Drenan, freshman defender from Rancho Bernardo, California.

    “The tendency there is to want to stay with your man,” Pietramala continues. “Well, [senior d-middie Matt Feild) should be getting in and pushing Matt Drenan out a little bit. Matt should be bringing Feildy in and pulling him, and that way the slide is shorter, the second slide is shorter and we’re covered up.”

    Unpause. From the left side, Syracuse senior attackman Brian Crockett snags the pass, makes a break for the cage and lets it rip. The defense doesn’t slide to him, and the shot misses the goal and ricochets behind the net for a Syracuse rebound.

    “We decide not to go, because we don’t think it’s a great angled shot,” says Pietramala. “I’m not so sure I would have done that, I might have gone because that was a pretty good shot for Crockett.”

    Pause.

    “Funny how you know everybody after a while, isn’t it?” he says.

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    この細やかさと徹底っぷり、そしてそれを裏付けるpassion(そしてobsession)。これなんだろう。Cornellを底辺からturn aroundし、JHUを復活させ、二度の優勝に導いたのは。

    その他にもどういうレベルで相手や自分たちを分析、理解、仮説検証し、練習や上達や戦略立案に役立てているかが紹介されていて参考になる。

    あと、最後に載っていたビデオを見る時の5つのtips。これも僕らにとって非常に参考になると思ったので紹介。NCAAのトップレベルで、どういう意図でどんなことをやっているのかを理解し、いいところをcherry pickするために。

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    FIVE QUICK GAME FILM STUDY TIPS

    1. Follow the Off-Ball Action
    • Just like in a game, you’re expected to follow your assignment, not the ball. It’s the same when watching game film. Study the players moving without the ball to better understand an opponent’s offensive cuts, slide packages and special teams play, as well as your own position in set plays.
    • これ、非常に同意出来る。ボール持ってる選手だけ見るのは素人の観客の見方、エンターテインメントコンテンツとしての見方だ。
    2. Mind the Smallest Details
    • In poker, the slightest finger tap or head scratch can give away an opponent’s hand. Lacrosse has similar types of tells. Does the goalie hitch his stick every time you shoot stick-side high? Does the big defender always go for an aggressive check up close? Those small tendencies can break open a game.
    3. Don’t Skirt the Lowlights (地味なプレーをおざなりにするな)
    • Watching yourself score that sweet behind-the-back shot is always fun, but don’t forget to study all the times you made a bone-headed play(愚直で地道なプレー) too. Film can help you zero in on(照準を定める/集中する) your own bad habits and help you correct them.
    • これも大事ですな。凄いプレーは凄いプレーで盛り上がればいいと。ただ大事なのは、こういう細かい地道な基礎の部分もきちんと見て、弱点を潰すこと、優れたプレーをアイデンティファイし、認め、褒められること。
    4. Study the Classics
    • Don’t just get caught up in your opponent. Get a hold of some game film of the great players, whether you play offense or defense, and study the techniques that made them so awesome. Old championship weekend broadcasts are a good source. This type of study is an easy way to add a few new tricks to the arsenal.
    • なるほど、やはりNCAAのコーチでもそういう考え方してるのか。「これ古いし。だせえからいいや」は無いってことねと。別に新しくないと一気に価値が下がるVideo Gameや科学技術/インターネットテクノロジーやファッションでもない訳で。映画や音楽や文学作品のように、古くてもいいものはいい訳で。ましてや突出した選手やチームはそうそういる訳でもなく、それらから学べることは常に有るし。フィジカルや試合の組み立てやメンタルの部分は普遍だし。もっと言うと、昔で環境やルールが若干違うが故に尚際立って学べる点も多いことすら有り得るし。
    5. Watch Practice Film
    • If your program films practice, watch it. If not, ask the coach to film practice. Like game film, practice film can help work out the kinks and bad habits. It can also tell the type of hustle and effort in your prep work. If you had a bad game day, studying the previous week’s practice film can help you
    • この徹底っぷり。僕らはHopkinsの試合でのパフォーマンスしか見ていないが、その裏で徹底してこういう細かく地道な学習/修正/改善の作業を積み重ねてる訳ねと。そりゃあ仮に高校時代で既に有名な選手だったとしても、4年間で更に飛躍的に上手くもなるよな、と思ったっていう。

    2012年5月18日金曜日

    NCAA Tournament 2012 1st Rd Princeton @Virginia

    一回戦からそこそこ厳しい相手と当たる事になったVirginia。

    Princetonも苦しみながらも、最後にIvy Leagueの数試合を通じて実力を発揮しつつあった。侮れない相手。

    結果は、接戦の末6-5でVirginiaが一点差の勝利。(スコアボード

    • Virginiaはいつものパターン。プレッシャーのMan-toとZoneの切り替えでDF。トランジッションで確実に得点。セットでは#6 AT Steele Stanwick (Sr), #10 AT Chris Bocklet (Sr), #34 MF Colin Briggs (Sr)らがゴリゴリ点取る。
    • Princetonも素晴らしかった。
    • 特に、NCAA最高ゴーリーの#6 Tyler Fiorito (Sr)が神セーブ連発。この後MLLでも間違い無く一時代を築くだろう。
    • #22 MF Tom Schreiber (So)が今回もこれまた鬼ダッジ&シュートでVirginiaを苦しめる。非利き手の左でゴツいシュートを叩き込んで来る。解説者の二人が「物凄いシュートを叩き込みました。てか、今のOff handっすよね…」「えーっと…そうっすね…」と呆れていたのも頷ける。
    去年も一回戦で延長戦の末Bucknellを破り、首の皮一枚で二回戦進出を果たし、その後勢いに乗って優勝まで突っ走ったVirginia。今年もそのパターンか。

    Princetonはこれでシーズン終了。4年間コンビでゴールを守り続けた#9 DF Chad Weidmeierと#6 G Tyler Fioritoの二人はMLLへ。4年前当時HCだった、現Denver HCのBill Tierney氏にリクルートされ、全米No. 1新入生クラスとして鳴り物入りで入学し、90年代以降6回優勝したPrinceton帝国の再来か、とも言われた。が、結局SyracuseやACCの学校には敵わず、4年間で一度もFinal 4にすら出場出来なかった。Tierney氏もDenverに行ってしまった。彼らがいなくなる事で一気に名門のDFも厳しくなる。今後Princetonがラクロス界のトップとして復活する事は無いだろう。一つの時代の終わりを感じる。

    Highlight


    2012年5月17日木曜日

    NCAA Tournament 2012 1st Rd Denver @North Carolina

    さて、一回戦8試合の中でも最も注目されていた激戦必至の一戦。全体8位のUNC対Denver。
     開幕前の練習試合では12-12の引き分け。双方協力な打線が売りで、大量得点の乱打戦が予想されていた。

    地元Chapel Hillのため会場のUNC Fetzer Fieldで観戦。

    立ち上がりから期待通りの大量得点祭り。ハーフの時点で11-9でUNCが2点リード。
    が、3Qに4-1でDenverが流れを掴み、最後は16-14で逃げ切ってDenver勝利。

    素晴らしい試合だった。

    これで残念ながら地元で一年間応援して来たUNCは敗退。Final 4まで十分に行けるチームだっただけに残念でならない。が、主力のほとんどが1-2年生。ATには1年生2枚(来年エースとして復帰するであろうNicky Galassoも2年)、Starting MFは2年生2枚に1年生1枚。FOGOもLSMも1-2年生。来年、再来年以降に期待したい。
    対するDenverは素晴らしいの一言。
    • ぶっちゃけこの試合の勝敗を明確に分けたのは、FO。NCAA D-1最強FOの#33 MF Chase Carraroが23/31で74%支配。もう一人の最強FOGO、#25 RG Keenanとの勝負を圧勝で飾った。正直言ってUNCは「攻める時間が与えられなかった」と言うのが最大の敗因だろう。ポゼッション数で実に15回DenverがUNCを上回った。もしこの試合のポゼッション数/FO勝率が互角だったら、間違い無くUNCが大差で勝っていた。それだけFOがこのスポーツでは大事だと言う事。笛に対する反応が尋常じゃ無く速かった。予想してるのか?どうやったらあんなに速く反応出来るんだ?その後の掻き出し/拾いも絶妙。FOになる度にかなりの確率でゴールを脅かしてくる。恐ろしい選手だ。しかもラクロスあるんかね?というKentucky州Louisville出身という経歴。身長170ぐらいなのでNCAA D-1では文字通りちびっ子。それでこの存在感ってよ...
    • 加えて、OFの完成度の高さに文字通り溜め息が出た。#22 AT Mark Matthews (Sr, MLL Denver Outlawsが一巡目指名)の安定感とオフェンスクリエイト力は引き続きだが、全体が極めて有機的、効率的に点を取れていた。OF CoachとしてBill Tierney HCの下で指揮を執るMatt Brown氏の手腕。OFの現役選手/OFコーチの方は見て学ぶ事が多いチーム。Matthewsはパフォーマンスに波があると言われているが、Quintが指摘していたのは「TV放映になると異様にパフォームして点取りまくる」と言う点...確かに!去年からそうだぞ...
    にしてもDenver。やはり最後に仕上げて来ている。レギュラーシーズン中も1点差の試合を多く落としており、実は実際の成績以上に実力が有ったのは間違い無い。去年もノーマークからFinal 4。今年も二回戦でLoyolaとの三度目の対戦で三度目の正直で勝てば、何と2年連続のFinal 4。西の最果てDenverのチームが2年連続Final 4なんて事態は90年代に一体誰が想像しただろうか?それだけラクロスが全米で爆発的に成長し、裾野が広がっていると言う事だし、やはり大学ラクロス史上最高のコーチであるBill Tierney氏の伝説たる所以だろうか。
    試合後の記者会見でのMark Matthewsの言葉が非常に印象に残っている。「最後に一つだけ言わせて下さい。NCAAのDivision 1ラクロスの上位校では、正直どこも素晴らしいレベルの選手を集められている。もちろん、それだけの選手を集めるのは簡単じゃないが、一度集められれば、素材の面では実はどこも互角。上位校間の『入学時の素材』での勝負ではもう差が付かない所までアメリカの大学ラクロスは到達している。そこから先本当に勝負を分けるのは、『どれだけ死ぬ程本気で優勝したいと思ってるか』そして『毎日どれだけ努力して、練習して、上手くなれるか』。自分たちはそこでは負けないと思っている」

    心の底から痺れたわ。尋常じゃなく腹据わってんわ。
    こういうチームだよ...毎年なんだかんだ言って接戦を制して最後に残ってくるのは。そして優勝を成し遂げるのは。競争が飽和して、勝ったり負けたりの接戦が続く中で最後の最後に勝つのはこういうチームだ。そしてそういうチームを作り上げて来るTierney氏の凄さ。

    その試合での姿勢とメンタルからも、非常に学ぶべき点が多いと感じ、(UNCの)敵ながら敬意を感じた。

    Highlight

    2012年5月16日水曜日

    George BreresのGoalie講座 vol.2 Goalie 1on1

    2012年3月31日

    MillonのThe Ultimate Guide to Youth LacrosseのGoalie講座 by George Breres (元Long Island Lizards)2発目。Goalie 1 on 1について。これも元ATの自分としては聴いていていくつかなるほどなーと思わされる物があった。

    基本的にはキッズ/ジュニア向けの講座なので、基本をしっかり教える作りになっている。が、一方で、いくつか実戦的なコメントがあり、大学からラクロスを始めたGoalieの選手にとっても学ぶものがあるかな?と感じたので紹介。

    そして、どちらかと言うとOFの選手が相手Gが何を意識してやっているのかを理解した上で、じゃあ更にそれをbeatするためにはどうすりゃいいんだ?を考える上で非常に参考になると思った。

    リンク



    揺らがない事
    • 時々DFが相手の強いATに1 on 1でビートされて、ATがleak(ペネトレート)してくる。
    • が、大事な事は、絶対にそれに対して焦ったり揺らいだりしない事。
    • 大事なのはPYP、Play your position、即ち、自分の仕事に集中する事。
    ちゃんと相手の動きを見る事
    • ATがXの1 on 1でdefensemanをビートし(抜き)、come aroundして表側に抜いてくる際に、それを常時しっかり見続けておく事が大前提。
    • もしそれでヤベッと思ったりする必要は全く無い。Don't worry about it。別にフリーでシュート打たれたってゴーリーが止めりゃいいだけなので。
    PYP: Play your position(自分のポジションを守れ)
    • 決して、絶対にやってはならないのは、(フットボールのDFのように)ゴール前の定位置から踏み出してATにチャレンジしに行く事。ちょっと上手いATになると、一発か二発フェイク入れて、しょぼいゴーリーをゴールから手前に引き出して、一歩かわして簡単に得点されてしまうので。またはcome aroundしてコーナーに突き刺されるので。
    • (→相手と近づいてゴールから離れることによって返って簡単に得点され易くなってしまうというメカニズムを理解する事が大事、初心者Goalieは心理的に、何とかしなきゃ、相手に近づかなきゃ、と考えてしまい勝ちということなんだろう。闘牛の牛のように突進してヒラリと交わされるのは相手の思うつぼだし、滑稽な絵だ...)
    • 基本的に、特に経験不足の相手の時は、外す時と言うのは大体相手がナーバスになって、何をすればいいか/どこに打てばいいか解らず、「あわわわわ、取りあえず打っちゃえ!」と打って外すかGoalieにぶつけちゃうケース。
    Stay as big as you can(でかく見せろ)で、無駄に動かない
    • Goalieとして1 on 1で極めて大事なのは、"Stay as big as you can in the goal"(ゴール前で可能な限りでかく立つ/見せること)。特にパイプ際にいる時。トールネットを可能な限り身体で覆い隠すこと。
    • もしGoalieが動じて動かなければ、ATは動揺して/慌てて、何度もフェイクして、そうこうしてる間にスライドのDFが来て潰してくれる可能性が上がる。
    • ATがフェイクを繰り出す時に、大体彼らは経験的にそうやればダメゴーリーはゴールから自分に向かって突進して来て、簡単に交わせると知っている。何故なら非常に多くのしょぼいゴーリーがそうしがちなので。
    • もしGoalieがそこで乗せられずにその場を動かなければ、胸とかスティックにボールを当てちゃう可能性が増える。
    焦る必要無し。止めること期待されてないし
    • もう一つ大事なのは...GoalieとOFとの1 on 1に於いて、ぶっちゃけ"You are not expected to make save there"(そもそもセーブすることなんて期待されてない)ってこと。決められて当然、ってのがボトムライン。もし10本中1本セーブすればヒーロー。ハイライトリールに載る。
    • なので、動じず、焦らず、ただひたすらポジションを維持し(下手にATに対して踏み出さずに)、Stay big(大きく立ち)、ATが勝手に自分の胸やスティックに当てちゃって自爆するのを待て。
    相手のスティックのヘッドを自分のスティックでキャッチする
    • そして、最後に大事なのは、単純に相手のスティックのヘッドをキャッチしに行く事。近い距離ではロングシュートと違い、high to lowやhigh to lowみたいな、スティックとシュート軌道の高低差を気にする必要が無い。単純に相手のヘッドに自分のヘッドを合わせにいくだけ。
    • (→これ、ATの側から見たGoalie攻略論として凄く大事な点だ。ってことはスティックを長く持っちゃって遅いスピードでぐるんぐるん動かしてもキャッチされるということ。スティックをchoke upして短く持って、リストのスナップで素早く動かし、頭や肩のフェイクで如何にGoalieを大きく動かせるか。)
    これらを守り、自信を持つ事。そうすりゃ偉大なGoalieになれるので


    個人的に、この辺の期待値の話、それによって揺らがぬセルフイメージを維持するというメンタル、前にステップアウトしないで動かない、ヘッドを捕まえる、の考え方等、心理戦も含めた駆け引きが非常に面白いと感じる(MMA[総合格闘技]のカウンターパンチ/タックルの技術にちょっと似ている)し、ATとしては逆にこの辺を理解するとGoalie 1 on 1のシュートでもう一歩成長出来ると感じる。

      NCAA Tournament 2012 1st Rd Syracuse @Duke

      トーナメントの一発目。Syracuse @Duke。

      Big City Classicでの対戦では前半Dukeががっつりリードするも後半に気が抜けて&Cuseが波に乗って意外と接戦になった。

      現時点では既にDukeが開眼してしまっており、Dukeの方が圧倒的に有利と見られていた。

      案の定。Dukeが危なげなく12-9で勝利。前半こそ5-4で接戦に見えたが、3QにDukeが6点取って一気に試合を決めた。(スコアボード

      Cuseはやはり最後までDFが若く、Gも一年生のWardwellが経験不足に苦しんだ。頑張ったが。

      Dukeは引き続きMF軍団が強力。Rob Rotanz & Justin Turri。これは止められない。

      これでCuseは10年の一回戦敗退、11年の準々決勝敗退に続き、3年連続でFinal 4に行けていない。今年も結構4年生がいたので、来年以降一気に強くなるようには見えない。もしかしたら結構長い冬の時代に突入してしまったのかも知れない。

      Highlight

      2012年5月14日月曜日

      George BreresのGoalie講座 vol.1 基本姿勢

      2011年3月22日

      MillonのThe Ultimate Guide to Youth Lacrosseからの抜粋動画。Goalieの基礎編。(リンク

      自分自身がAT出身だからだろうか、何故か卒業して時間が経ってラクロスに触れる中で、異様にGやDFの技術に知的好奇心を感じてしまう。知らなかった事がいろいろ解って相当面白い。「なるほどー!こういうこと考えてやるんだ!」と目から鱗な話が満載。

      G/DFの選手からすると「んなこた基本っすよ」って感じかも知れないけど...まあ、仮に基礎だとしても、こうやって元トッププレーヤーのコーチ達の口から彼らの言い回しで、HowやWhyの部分まで含めて聴くのは間違い無く無駄にはならないだろってことで。また、OFの選手からすると、この辺の相手がやろうとしてる意図やメカニズムの部分を理解する事は、相手を攻略する上で間違い無くプラスになる。NCAA/MLLの選手たちのこの手のインストラクションを見て毎回感じるのは、相手ポジションのセオリーや技術をよーく解った上で駆け引きしてるなということ。「DFは教科書としてこうすることを教えられてるので、敢えてその裏を突け」的なコメントをよく聴く。

      元MLL Long Island LizardsでMillonとチームメートだった、Mark Millon Campのゴーリーコーチ担当のGeorge Breres(ブアズ、かな?音的には)。今回のは基本姿勢。


      スタンス
      • まずは、肩幅のスタンスを取る事。狭過ぎるとボールに対して動けなくなる。所謂"Athletic Position"で、常にどちらの方向にも瞬間的に踏み出せるようにしておく。(動画で見ると実際には多少肩幅より広く構えてる感じだろうか。もちろん骨格的に実際に肩幅が広いというのもあるが、全体的に軽く肩幅を盛る傾向を感じる。)
      • そして大事なのは、膝がつま先の真上に来るように意識する事。それにより、膝に程よいたわみが生まれ、柔らかい下半身(bouncy legs:弾けるような下半身、みたいな)を維持出来、いつでも瞬間的に左右どちらにも、前にも動ける。(→テニスやバレーや卓球のレシーブでサーブに備える際の身体を連想させる。)
      体全体
      • Sitting down、つまり、座るようなイメージ。
      • ちょっとお尻を落として、つま先、膝、肩を結ぶ線が垂直の一直線上に結ばれるよう意識する。それにより膝が程よく曲げられ動き易くし、臀部が沈み込むことで安定し、上半身が少しだけ前傾されることで拇指球体重が維持出来、一方で背筋をある程度保って胸を張らせることで十分な視野を確保出来る。
      腕とスティックの位置
      • 一度腕を全部伸ばし、そこからスティックを身体に近づけて行き、丁度真ん中まで近づけた位置。この位置にスティックを置く理由は、とにかくリバウンドを防ぐため。リバウンドを出来るだけ防ぐ事がゴーリーにとって肝となる。
      • スティックを身体に近づけ過ぎてしまうと、off stick side highのシュートをセーブした際にバツン!とパンチしてしまい、ボールが跳ね返ってしまい、リバウンドでやられるリスクが生じる。
      • 腕を曲げておけば、キャッチし易くなり、リバウンドを防げる。
      繰り返すと、
      • つねに腕を曲げ、seated position(座ったポジション)を維持する事。
      • ゴールの枠のどの位置にも素早く簡単にスティックを持って行けるようにすること。

      2012年5月13日日曜日

      ラクロス映画「Crooked Arrows」vol.03

      6月の劇場公開が迫り、カウントダウンモードに入りつつあるラクロス映画「Crooked Arrows(クルッキド=アロウズ)」。

      Makingの映像がYoutubeにアップされており、印象的だったので紹介。

      製作メンバー、及び主要キャストが製作の裏側について語っている。

      面白いと感じたのは2点。

      1. 徹底してラクロスのプレーのリアリティにこだわった点

      製作の最初の段階で、この映画の成功の鍵は、ラクロスのプレーがリアルに再現される事にあると確認したとの事。インチキっぽい素人プレーでは絶対にラクロスファンを納得させられない。従って、演技のプロにラクロスを教えるのではなく、ラクロスに慣れ親しんだ実際の選手たちに演技を教えるというアプローチを取ったとの事。

      個人的に絶対に正解だと思う。そうしないとギクシャクしたキモい動きの胡散臭い残念な映画になり兼ねないので。(実際にそうなっている悲しいスポーツ映画はゴマンとある。)

      実際にプレーヤーとしてのオーディションをし、選手としてある程度優秀な選手のみをセレクトしたとの事。

      実際の試合の映像を見てみても、かなりプレーとしての質は高い事が解る。そこがしっかりしている限り恐らく映画としては大丈夫だ。仮にストーリーがシンプルでも、楽しめる筈。

      2. Native Americanの選手たち

      メンツを見ると解る通り、IroquoisのU-19に入って来ているような選手たちもちらほら。昨年SyracuseからHamilton Nationalsに行ったJeremy Thompsonの兄弟や従兄弟、Albany Thompson一族がガッツリ入っている。

      面白かったのは、Native Americanの選手たちと、Prep Schoolの選手たちを集めてやった試合のシーンで、キャンプ中に、最初はNative Americanの選手たちが萎縮してしまい、「やべえっすよ。あのアメリカ人のエリート選手たち巧くてかなわないっすよ...」と言っていたと。それに対して技術担当のコーチ達が「ま、いつも通り楽しくやりなよ」とアドバイスした所、一週間後には伸び伸びとプレーし始め、Behind the BackやらNo lookなどの遊びの延長のクリエイティブなプレーを連発し始め、持ち前のStick skillを軸にしてPrep school選手たちを圧倒し始めたとの事。

      まあ、あのIndoorでのIroquoisの選手たちのプレーを見たらそら納得。それが正にこの映画のストーリー性の根幹にある訳で。

      それを見たアメリカ人の関係者達が「これは今アメリカで高校や大学でメジャースポーツになっているが、元々はNative Americanにアメリカ人が授かった/教えて貰ったスポーツなんだと言う事を再確認した」との事。

      最後にBrodie MerrilやPaul Rabilらスター選手たち、Gary Gaitら往年の名選手達も映っている。


      2012年5月12日土曜日

      Lacrosse視点からのMBA留学

      これ、既に1月にアップした際に読んで頂いた方も多いと思うのですが、NCAAのシーズン開幕後に読者数が顕著に増えた事もあり、重複を承知の上再掲させて頂きます(あと、次のネタ書くまで1-2日掛かりそうなので...)。より多くの日本の若くて優秀な人材が、海外で戦える/グローバルな環境で価値を生んで行けるようになる事を願って。ご興味無ければ容赦なく飛ばして頂き、興味があれば目を通して頂ければ幸いですし、既に読んだ方でも熱量が若干冷め気味なら再度リマインドしてグッとモチベーションを醸成して頂ければ、それで皆さんがガンガン海外に出て行く事の助けに少しでもなれるなら、それ以上の幸せは無し、です。

      +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
      2012年1月

      1月に入って、さすがに温暖なNorth Carolinaと言えども、雪は降らないまでも上着が必要な気温の日が増えて来る。これが東海岸東部やChicago時代であれば、このくらいの気温であれば気合いで厚着して無理矢理でもゴルフをやっていた気がしないでもないが、さすがに一年のうち10ヶ月はゴルフ可能な天候なNCにあってはわざわざ無理してやるのも痛い感じが強くなってしまうので、ここの所週末は勉強、読書とバスケ観戦。ついでに、これまで書いておきたいと思っておきながら放置されて来たネタをいくつか吐き出してしまおうと思う。

      そのうちの一つがこれ。「MBA (Master of Business Administration = 経営学修士=ビジネス・スクール) 留学とラクロス」。「ラクロス視点でMBAの学校選びを考えた際に、どういう選択肢が有り得るか」という話。一年くらい前から、どっかで一回書いときたいな、と思っていたネタ。(相当ニッチセグメント向けのコンテンツなので、ご興味の無い方は容赦なくスキップして下さいませ。)

      Agenda
      • 1. 何でこの話を書こうと思ったか?
      • 2. そもそものWhy MBA?
      • 3. Lacrosseが身近にあるUS Business School
      • 4. 最後に

      1. 何でこの話を書こうと思ったか?

      個人的に、多くの日本人の優秀なビジネスパーソン/プロフェッショナル/リーダーシップ人材にとって、欧米のトップクラスのビジネススクールに行く事は、人生をより豊かに、楽しく、エキサイティングにする上で、より熱くて面白いキャリアを送る上で、極めて有効であると信じている。

      特に、世界のマクロ経済に於ける日本の相対的地位が加速度的に落ちていく中、今の40代〜60代の先輩方が送って来た人生/世界とは全く違うゲームのルールになってしまっている今の世の中に於いて、(多くの産業/職業において一般論として)日本に閉じた形でキャリアを積む事の機会損失/リスクは極めて大きくなってしまっている。

      逆に言うと、グローバルの土俵で戦える/価値を生める人材/リーダーである事による上乗せの価値/人生の楽しさが相対的に加速度的に増している。従って、過去20年間のキャリア観で捉えられていたよりも、海外で通用する人材になる事の意味は今までに無く重くなりつつあり、どの職業/フィールドに於いても、「一流でありたい」のであれば、最早グローバルの土俵で戦う事は避ける事の出来ない必然になりつつあると個人的に感じる。(最終的にどう判断するかはもちろん個人の自由)

      そんな中、ラクロス部出身者は、他の体育会/スポーツと比べても、実績的にも、裏側にあるプロファイル的にも(海外への興味、過度に保守的でなく新しい物に挑戦する姿勢、高い達成動機、外資系/ベンチャー/プロフェッショナルファームでの就業率の高さ)、学力/英語力的にも、MBA留学にフィットする人材が圧倒的に多い(特に、東大、一橋、京大、早稲田、慶応といったラクロス強豪校で実際にMBA卒業生が複数存在)

      (実際に、僕自身の身近で言うと、Kelloggの同級生には早稲田98のMFの方、先輩には2期の上利さん、後輩には14期の高田カズ(DF)、10期のシゲさんはWharton、17期の北見(AT/主将)はMichigan、15期の折茂(MG)はStanford、同じ13期の次郎(MF)はLondon、12期の石田さん(MF)はTuckに、そしてその他多くの先輩、後輩がこれまで米国MBAに留学しており、一橋ラクロス部の卒業生の方々のMBA留学もここ数年で増えていると伺っている。加えて今の若い卒業生や選手達もインターネットでの動画が溢れるに連れ、NCAAやMLLの映像や情報により多く触れることで、より高いinternationality(アンテナ、興味、憧れ)を醸成しつつあり、今後更に多くの卒業生達がMBA留学を志して来ると予想している。)

      個人的にはそれは極めてウェルカムで心強い事だと感じるし、是非留学の夢/目標を達成して、日本からより多くの優秀な若い人材がガンガン海外に出て行き、レベルの高い環境/人材の中で揉まれて修行を積み、結果、日本の若いグローバルリーダーシップ/プロフェッショナル人材層が質量共に強化されて行けばいいな、と常々感じている。(長い目で見れば、そうやって元ラクロス選手の日本人が海外に出て行く事はラクロスコミュニティ全体の国際性アップ、ビジネスや学問を始めとしたいろんなフィールドでの存在感アップに繋がるとも思うし。)

      そんな中で、(多くの本や予備校がMBA留学や学校選びについては散々語っているので全く付加価値は付かないが)敢えて、ラクロス最適の視点で学校を見直すと、どういう選択肢があるのかを一度整理/棚卸ししておきたかった、という話。(ま、言ってしまえば超個人的でマニアックな趣味の延長、ただの「吐き出したい」欲求だが...)


      2. そもそものWhy MBA?

      さて、これはちゃんと書いちゃうと一冊の本になってしまう上、このブログの趣旨から外れること甚だしいので、超ポイントを絞って。こんなもんは「その人次第」極まりない内容だが、敢えて一般論として、そして僕個人の意見として。バラバラと。今ランダムに思いつく事を。

      (ちなみに、最初の取っ掛かり/きっかけなんて何でもいい。それこそ、ラクロス見たい/やりたい、アメリカに住んでみたい、英語喋られるようになりたい。何か留学ってカッコいい、合コン戦闘力上がりそう、なんでだっていい。僕も最初はそんなもん。以下は、その更に一歩先の、本当の理由/価値。)

      ①将来のキャリアと人生の選択肢を広げる。その後の転職のオポチュニティ、国や業界を跨いだジョブトランスファーの可能性。行かなければ出会う事の出来なかったキャリアに出会える。仮に同じ仕事に戻ったとしても、他の選択肢を持った状態で余裕を持って取り組める。

      ②世界最高峰の人材/環境に触れる。これ、ラクロス始め全てのスポーツと全く同じ。結局一番大事なのは環境、そして周囲にいる人たちのレベル。志が高く、成長意欲/上昇志向が強く、ハングリーで、加えて優秀な人々の中に身を置き、厳しくcompetitiveな環境の中で切磋琢磨する事が、自分を磨く上で、そして将来的によりエキサイティングで面白い人生/キャリアを歩む上で一番手っ取り早い。

      米国トップビジネススクールは、正に世界中からそういう連中がわんさか集まって来る場所。週刊少年ジャンプ的「オラ、もっと強え奴と出会えると思うとワクワクすっぞ!」、またはダルビッシュ選手の言う所の「世界最高峰の相手と真剣勝負がしたくて」、またはバガボンドの「自分の全力を受け止めてくれるだけの器量があるか?」的欲求を満たすにはもってこいの場所。

      ③(特に非帰国子女、海外経験無しの方々にとって[ちなみに僕もそう])海外に触れる経験、英語で仕事出来るレベルまで持って行くための手段。残念ながらMBA留学2年で「ネイティブ並み」や「日本語とほぼ同じレベルで仕事出来るレベル」にはならない(そのためには卒業後アメリカで数年働く必要がある)。が、少なくともスタートラインには立てるし、日本でやるよりは遥かに速く高いレベルにまで持って行ける。加えて、その後の海外でのキャリア、例え物理的に日本にいたとしてもよりグローバルなキャリアへ繋ぎ易くなる

      ④「視野を広げる」。単純な世界/海外、と言う軸以外にも、社会、職業、文化、という意味で、より幅広い人、価値と触れることで、根元の部分から世の中や人生に対する見方/考え方をぐいっと広げる。いろんな国、バックグラウンドから来たいろんな人たちと2年間同じ釜の飯を食う事で、これまでの一つの社会/コミュニティの中でしか見られていなかった「物の見方」や「人生観」をより多面的なものへと広げる。

      (実力&一芸入試の極にあるMBAでは、本当にいろんなバックグラウンドの同級生に出会う事が出来る。元(時々現役)NBA/MLB/NFL/Winbledonの選手、元芸能人/歌手、アラブの石油王の息子、南米の名門ファミリービジネスの息子、アジアの政治家の娘、インドの警視総監の娘、ロシアのベンチャー経営者、イタリアの金融マン、フランスの自動車エンジニア、等々。凄くいい奴、凄くコンペティティブな奴、すごくいい加減な奴、凄くオモロい奴、凄く優しい奴、(ごく稀に)やな奴、等々いろんな軸で日本では出会えなかった「突き抜けた連中」に会う事が出来る。)

      同級生だけに限らず、多くの企業やNPO、あらゆる分野で活躍/成功してきた世界中のリーダーが学校を訪れ、講演/議論してくれる。彼らが教授として生きた経験を伝えてくれるケースも多い。その中でいろんな生き方、失敗談を聞き、人生を追体験する中で、その生き様に心を打たれ、熱い想いに共振し、自分自身の人生のいろんな可能性に気付かせてくれる。「ああ、こういう想いを持って、こういう生き方をすれば、こういう大人になれるのね。」と言うのが、いろんなスタイル/オプションを伴って見えて来る。

      ⑤2年間のエンターテインメント。忙しいとは言え、学生。飲み会もイベントもスポーツ観戦も旅行も集中して楽しめる。新婚で行けば実質2年間のハネムーン。20代後半、30前後で、2年間限定で夏休み、魂の洗濯としてがつんと羽を伸ばすのもまた一つの選択肢。歳とって引退してからじゃ遅過ぎるし、若い頃にしか楽しめない事も多い。大学卒業して4-10年仕事に没頭して馬車馬の様に走り続けて来たなら尚更。一回想いっきり息抜き入れようぜ、激しくオン=オフ切り替えてみようぜ、何か見えて来るからさ、って話。

      (ちなみに自分の場合も、プロフェッショナルファームで全速力で走った20代の6年間の後に、飽きて、疲れて、そして辿り着いたMBAで、卒業後は、「ま、十分遊んだし、もう一回切り替えて思いっきり戦ってやろっと」という気持ちに素直になる事が出来た。)

      ⑥それらを通しての、「自分探し」と「自分の軸作り」。もちろん、誰しも高校でも大学でも就職活動でも、人生を通じて「自分探し」はやって来たと思う。だけど、やはり20代精一杯働いて、自分が何者なのかをもう一歩深いレベルで知った上で、ショック療法的に多くの価値観や世界や人々に触れ、グイッと視野を広げられる。自分自身を見つめ、自分自身と会話する時間も存分にある。自分は本当に何がやりたいのか、何が好きなのか、死の床で人生を振り返って、どういう生き方をしていれば後悔しないのか、そういった本質的で根源的な問いととことん向き合う事が出来る。完全な答えこそ出ないが、「現時点での確からしい一つの仮説」は自分なりになんとなく掴み取る事が出来る。それらの2年間を通じて、多くの卒業生が「全く違った自分自身へと進化する」と表現する。(僕自身も全く持って同意する。)

      ⑦生々しくて現金な話、生涯賃金。Life Time ValueとしてのNPV(キャッシュフローの総現在価値)。乱暴に言えば、1,500万円投資して、生涯を通じて数億円(人によっては数十億円もしくはそれ以上)上乗せ収入を得る。自分自身のキャリアが株やFXに比べればよっぽどlow risk high returnな投資先という考え方。(もちろん、お金が人生の最上位のプライオリティになるケースは少ないとは思うし、どちらかというともっと大事なのは本質的に自分がやりたい仕事をやる事だが。)(ちなみに、資金に関しては特にアメリカ人の場合、フルに借金して、卒業後数年で返済する、というスタイルを取る学生が多い。文字通り事業投資/ROIの考え方。トップ校であれば学費ローンで、学費、及び最低限の生活費分を課してくれるケースも多い。)

      それらの結果、⑧その後、より楽しくて充実した人生とキャリア、MBA留学していなければ得られなかった体験を得る。自分自身の人生をより主体的に/ポジティブに捉えられるようになり、それをコントロールし、そのプロセスをエンジョイ出来るようになる。

      と言うのが、多くの日本人の優秀な人材が欧米のトップビジネススクールにMBA留学するべきと考える理由。

      敢えてもう一歩説得力を持たせるために付け加えると、MBAホルダーの多かった前職で、そして出願準備中に出会ったUSトップスクールのMBAホルダー200人近くの中で、「MBAに行って本当に良かった、最高だった、強く勧める、お前も絶対に若いうちにMBA留学するべき」と言わなかった人は見た事が無い。「行かなきゃ良かった。お勧めしない」と言った人は日本人では未だかつて一人も見た事が無い。(唯一の例外は、幼少期からぶっちぎりの神童で、名門大学を飛び級進学/卒業し、20代前半で起業して成功しmillionairになった上でHarvardに来て、「イマイチ得る事無いかな...」と辞めてしまったアメリカ人だが、それはまあ例外中の例外。)それくらい素晴らしい体験になると保証出来る。

      逆に、敢えて、世の中的に誤解されがちな、本来は目的じゃないし、実際にはそんなに重要じゃない(と僕が考える)ファクター。恐らく世間一般的には、この辺を目的だと勘違いし、批判するケースが多い様に見える。(多くの場合、彼らは実際に留学を体験していない。要は、「論点がズレている」ケースが多い。)

      ①肩書き/ブランド/箔付け。そんなもんはほぼ役に立たない。別にHarvardやKelloggに行ったから人生やキャリアが保障されるなんて訳がない。行ってもその後も継続的に努力/成長し、プルーブし続ける必要。(ただ、トップスクールに行けば、自分よりも確実に優秀で才能のある連中が[例えそれがアメリカ人だろうが中国人、インド人だろうが]、ハングリーに、高い志と情熱を持って、目ぇ血走らせて必死で努力している姿はこれでもかと言うくらい目にするので、どのくらい頑張らなくちゃいけないか/頑張れるのかの世界水準に触れることは出来る。)

      ②「経営学」の「お勉強」。座学で知識を身に付けるためにMBA留学があるんじゃない。そんなもん気合い入れて独学で3ヶ月掛けて300冊くらい経営学/戦略論/マーケティング/ファイナンスの教科書/ビジネス書籍を反復して読めば知識としては身に付く。ケースディスカッションそのものに興味があるなら、Globisに行って経験するも良し。所謂実務での実力に関しては実戦で学ぶのがほぼ唯一絶対のやり方な訳で、BCGやMcKinsey、金融スペシフィックに言えばGoldman Sachsと言った一流プロフェッショナルファームで新卒/第二新卒で2-3年やればMBA卒業生よりも数段真っ当な「使える」実務の実力が身に付く。個人的にはMBAで学ぶ「形式知」自体が最も重要だとは全く持って思わない。(もちろん、いざ実際に学んでみると、意外と使える知識/知恵も多いが。要はそれ「だけ」が目的では絶対にないという意味で。)

      2007年に書いた合格体験記にもその辺のWhy MBA?や合格方法、MBAそのものについて基本的な事を知るための情報ソースも含めて記載したので、もし興味有れば&真剣に検討されたければ是非。(リンク

      加えて、Kellogg時代のブログにも入学後に感じた「Why?」を書いた事があるので、ご興味が有れば。(リンク


      3. Lacrosseが身近にあるUS Business School

      と、書いてるうち前置きが長くなり過ぎたが、以下、US B-School上位校でのラクロスの状況。順位は最も参照される事の多いBloomberg Businessweek Business School Rankingの2010年。(リンク

      基本コンセプトは、「どうせ同じMBA留学するなら、せっかくだからラクロスを見たり、プレーしたり、いろんなスポーツや文化や環境を存分に楽しんだ方がいいでしょ?同じ条件で学校を選ぶなら、より面白いところに行った方がいいよね。」という単純な話。

      ちなみに、各校のより具体的な説明は恐らく日本語Wikipediaにも結構記載されてたりするので、そちらを参考されたし。独断と偏見に基づくラクロス環境評価付き(ちなみに、男子ラクロス視点です。すいません)。

      1. Chicago (Booth) ラクロス環境: C
      • 金融プロフェッショナルヘビーなので(卒業直後の収入が底上げされ)、若干本来の実力以上のランキングになっている面も否定出来ないが、ここ数年トップクラスの評価を維持。
      • が、残念ながら(最近育ちつつあるとは言え)ラクロス不毛地帯の中西部Chicagoにある上、体育会は死滅。MLLのChicago Machineも昨年移転、NLLのChicago Shamrockも数年前に解散、ラクロス環境的には厳しい。
      2. Harvard ラクロス環境: A
      • 言わずと知れたIvy League最強の名門校 at Boston。元祖ビジネススクール。MBAとしては申し分無し。但し、冬寒し。
      • HarvardのラクロスはIvy Leagueでは2-4位辺りをウロウロ。NCAA Div 1全体では10-30位をウロウロ。Tournamentに出る年もあるかも、ぐらい。HCのJohn TillmanがMarylandに行ってしまい、今後数年のリクルーティングが若干見えない。
      • 一方で、MLLのBoston CannonsがHarvard Stadiumを本拠地としているため、ホームゲーム、年によってはChampionship WeekendやAll Star Gameへのアクセスがいいってのはあり。
      • NLLのBoston Blazersもあり、と書こうと思って、2012にsuspendされてしまった事を思い出した...
      • 恐らく学校のクラブでプレーも出来るはず。
      3. Pennsylvania (Wharton) ラクロス環境: A
      • Philadelphia。金融に強い。元々学年800人中20人以上日本人がおり、最大日本人コミュニティを誇った時代も有ったが、ここ数年は10人未満にまで縮小。
      • U-Pennのラクロス部はIvy Leagueで中位。Duke等強豪とも試合するので、一応いい試合を見られるっちゃ見られる。Philadelphiaは大学が多く、Villanova, Drexel, Delawareなどの中堅校の試合も見られる。(従って、対戦相手であるSyracuse, Duke, Hopkinsなども見られる)
      • MLLのPhiladelphia Barrageが数年前に解散して以来MLLとの縁は無し。
      • NLLのWingsはここ数年優勝と縁が無いが、スタジアムの環境は正にNLLを象徴する熱い物。これだけでも行く価値ありかな?とも思う。
      • こちらもラクロスクラブがあった記憶あり。
      4. Northwestern (Kellogg) ラクロス環境: B-(女子ラクロスに限ればA+)
      • Chicagoの北の高級住宅街Evanston。僕の母校。14期の高田カズが在学中。2期の上利さんも卒業生。90年代から2000年代前半までランキング1-2位を維持してきたが、ここ数年、General Management(金融やプロフェッショナルではなく、事業会社での経営者)志向の強さから、卒業直後の賃金が投資銀行等には叶わぬ事もあり、若干順位を落としている。校舎も数年後の建て替えを前に老朽化しており、生徒から不満の声も。(が、個人的には、[自分が行っていたから、と言うのを抜きに、客観的に見て]多くの日本人にとっては最高の選択肢、最高のビジネススクールだと信じてます。学校としての素晴らしさもさることながら、「楽しさ」も高いレベルで満たしてくれる、最高のバランスを持った学校。)
      • ラクロス的には...悲しいかな男子ラクロス部無し。が、女子は伝説的強豪新興校。ザ・シンデレラストーリー。創設10年で5連覇含む優勝6回(マンガかっ)。女子ラクロスの新時代を切り開いた張本人、元MarylandでUS代表のHead Coach Kelly Amonte-Hiller氏が全米から(時々オーストラリアから)最高クラスの選手を集め、毎年優勝または準優勝。試合観戦はUS代表の競演状態。無双過ぎて壮快過ぎ。(記事
      • が、それ以外はラクロスほとんど無し...あと冬は寒過ぎて吐きそうになる。夏は軽井沢みたいで最高。Chicagoの街も素晴らしいし。
      • あと、名物のSports Managementの授業は秀逸。以前MLLの経営陣が講演に来てくれた事も。(記事
      5. Stanford ラクロス環境: C
      • 西海岸San Francisco。女子は創設直後から急ピッチで強豪の仲間入りを。男子は現時点でチーム無し。MLLのSan Francisco Dragonsが2008年に無くなって以来無し。
      6. Duke (Fuqua) ラクロス環境: A
      • North CarolinaのTriangleに位置するDurham。バスケもラクロスも強豪。Coach Danowski (Dinoのお父さん)率いるBlue Devilsは毎年強力な新人を取り続けており、今後も安泰。天候も最高。もし、ラクロス有りきで、尚本当にレベルの高いビジネススクールに行きたい、という双方を高い水準で満たそうとするならば、Dukeが最高の選択肢な気も。
      • 時々Ivy Leagueからトランスファー(転校)してきた選手がBusiness Schoolに在学してるので、同級生になれるかも。
      • UNCも車で10分。車で2時間のCharlotteにMLLのHoundsが来た。ゴルフも最高。アメフトがしょぼいのが難点。
      7. Michigan ラクロス環境: A-
      • 東大ラクロス部と10年に渡り人材交流を行って来たMichigan WolverinesとHC JP。遂に今年念願のNCAA Div 1入り。ここ数ヶ月リクルーティングで優秀な選手をかなり確実に抑え始めており、学校のブランド力の強さ、HC JP氏のコーチとしての実力を既に発揮し始めている。数年で強豪の仲間入りする事は間違い無いと見られる。当然冬は極寒。でもドームなので大丈夫。
      8. UC Berkeley ラクロス環境: C
      • 西海岸。男子ラクロス的に面白くなってくるのは、まあ、10年先か。
      9. Columbia ラクロス環境: C
      • 東海岸の北。NY州自体はラクロス盛んだが、NY Cityになっちゃうときつい。NCAAのラクロス部も無い。NY CityはMLLもNLLも無し。MLLのLong Islandも物理的には近いが、如何せんNYCの北から、車も無いとなると気軽に行ける感じでもない。NLLのTitansもMadison Square Gardenのコストの高さに耐えかねて移転。
      • 4月のBig City Classicに車で行き易いくらいかなー。
      10. MIT ラクロス環境: B-
      • 所謂マサチューセッツ工科大学ですな。学校自体のラクロス部は聴いた事無いが、Harvardのお隣なので、実質Harvardと同じ評価ですな。
      • ちなみに、所謂一般の日本人受け、というか、結婚式で「新郎の○○様は、アメリカ××大学を卒業し...」の紹介時に於ける親族の「オーーーッ(何か凄そう)」のボリュームの大きさ、またはキャバ嬢の「すごーーーーい(よく分かんないけど何か聴いた事ある)」の「ー」の数で言えば、恐らくHarvardと並んで強いはず。(Undergradや工学部の知名度とBusiness Schoolとしての良さが必ずしも比例していないが、その辺は一般の人には分からないので。)
      11. Virginia (Darden) ラクロス環境: A
      • 昨年優勝校のVirginiaのビジネススクールもそこそこ高い評価を受けている。特にGeneral Management(事業会社での経営者キャリア)に於いては第一線。がっつりUVAラクロスにまみれるならあり。
      12. Dartmouth (Tuck) ラクロス環境: B
      • これまた北の極寒の地。今12期の石田さん(MF)が在学中。Dartmouthのラクロス部自体はDiv 1中位。Ivy League含め上位校が何回かくるかな、という感じ。
      13. Cornell ラクロス環境: A-
      • NY州の北部。ざっくり言うと、SyracuseやRochesterのある「方面」
      • Cornellラクロス部が見られるって意味では最高。が、The Middle of NowhareのIthakaにあるため、他の全てが遠過ぎる...Rob Pannellが卒業してしまった後暫く低迷する気もする。
      16. North Carolina ラクロス環境: A
      • Dukeと同じ街。双方強豪。双方見られる。CharlotteにはMLL。ゴルフ、バスケ/アメフト観戦等はベスト。学校のランクへの拘りをある程度犠牲にして、私生活充実最大化ならかなり上位に。
      • ここもBusiness Schoolに現役選手が時々いる。
      • ちなみに今僕自身が住んでるのがこの学校のキャンパスの近所。のんびり、広々してて、温暖なので、仕事しながら住む、引退後に住むにはベストかも。
      33. Georgetown ラクロス環境: B
      • 名門だったラクロス部が最近明らかに落ち目...万年中堅チームが定位置に...
      • ただ、ラクロスの聖地Baltimoreに近い。肌で感じられるラクロス感はあるはず。
      他、ビジネススクールとしての順位が大分落ちてしまうので、留学先の候補としての価値が一気に落ちてしまうが、ラクロス強豪校でビジネススクールが一応あるのは、
      • 42. Maryland
      • 44. Penn State
      って感じだろうか。SyracuseHopkinsに強力なB-Schoolが無いのが痛い所。

      まとめると、所謂上位校の中で、2年間ラクロスを楽しめる環境があるのは、Harvard、Wharton (U-Penn)、Duke、Virginia、Michigan、Cornellと言った辺りだろうか。多少ランクが落ちるが、UNCも入って来る。女子であればKelloggは文句無しで最高。書いてみて、意外と選択肢多いなと感じた次第。

      ちなみに、理系の院(Master/PhD)で行く留学、又は司法試験合格後に大手法律事務所の弁護士の方がよく行くLLMの学校のポートフォリオも比較的被って来ると思われるので、ある程度この表のラクロス評価はレバレッジ可能。


      4. 最後に

      こんなもんただの雑感だが...しかし、改めて、こうやって見ると、まあ、名門ビジネススクールってことごとく寒い所に有りますな...実際に東海岸(Philadelphia & Delaware)、西海岸(California)、中西部(Chicago)、南東部(North Carolina)と住んでみてよーく分かったが、寒いエリアの方が学問的に発展するのは心理的にも社会的にも納得の必然。楽しいかどうか、楽かどうかは別として...

      逆に、ご覧の通り、悲しいかな西海岸はNCAA Div 1のチームが無いため、ラクロス最適で留学を考えるなら厳しい。MCLA(非体育会リーグ)のチームは大体全米どこにもあり育っているが、やはり本場のハイレベルのプレーをみたいならまだまだ物足りないはず。

      という感じでしょうか。個人的に、今後日本で、ラクロス選手→トップビジネススクール留学、というパスがよりメジャーになって行けば素晴らしいな、と感じている。例えば、毎年日本からのUS top 20 b-schools留学生の中に元/現役ラクロス選手が10-20人いる、みたいな状況になれば最高だ、なんて妄想してしまう。

      うっを...思ったより長くなってしまった。ラクロス部の現役選手/卒業生でMBA留学を考えてらっしゃる方がいらっしゃれば相談に乗るので、気軽にご連絡下さいませ。グイッと人生を変える、自分を生まれ変わらせるきっかけとしては最適なので。

      今もし卒業生でMBA留学に行くべきかどうか迷ってる人がいらしたら、メッセージはこれ以上無いくらい明確で、「迷わず行け。絶対に想像以上の物が得られるから」です。

      2012年5月11日金曜日

      2012 NCAA Tournament Bracket

      Tournament表(Bracket)が発表

      遂に先週日曜日でレギュラーシーズンの全日程が終了し、直後にSelection Committee(選考委員会)による全16チームのトーナメント出場校の選出が行われ、Bracket(ブケット=トーナメント表の事)が発表された。(ILの記事トーナメント表のPDF

      上記のPDFをダウンロードして机の前にでも貼って今後3週間眺めつつ、結果に応じて×や○を付けて行けば盛り上がる事間違い無し。当然我が家はスタンバイ完了。

      今週末に一回戦8試合、来週に準々決勝4試合、そして再来週のMemorial Day Weekendの三連休の土曜、月曜にFinal 4(準決勝)と決勝。今後3週間でNCAA Division 1の頂点に立つチームが決まる事になる。つまり、ここから4回勝てば優勝。

      組み合わせ

      具体的な組み合わせは以下。

      先週末の各Conferenceのトーナメントの結果、上位校が破れていくつか中位校が優勝し出場権を獲得したため、最後の最後になって席が予想以上に埋まってしまい、「行けるっしょ」と思っていたチームが漏れるという現象が起こった。

      右上

      1 Loyola (Sat. 5 p.m., ESPNU; Navy Quarterfinal bracket)
      Canisius

      8 North Carolina (Saturday, 7:30, ESPNU; Navy Quarterfinal bracket)
      Denver

      右下 

      4 Notre Dame (Sunday, 5:15, ESPNU; PPL Park Quarterfinal bracket)
      Yale

      5 Virginia (Sunday, 1, ESPN; PPL Park Quarterfinal bracket)
      Princeton

      左上 

      2 Johns Hopkins (Sunday, 3, ESPNU; Navy Quarterfinal bracket
      Stony Brook

      7 Lehigh (Sunday, 7:30, ESPNU; Navy Quarterfinal bracket)
      Maryland

      左下

      3 Duke (Saturday, noon, ESPN; PPL Park Quarterfinal bracket)
      Syracuse

      6 UMass (Saturday, 2:30, ESPNU; PPL Park Quarterfinal bracket)
      Colgate


      以下、パッと見ての感想

      右上

      まず、やはり注目は全体第一シードのLoyola。開幕前では何と20位圏外。それがここまで勝ち続け、Hopkinsとの1点差での負けを除き全勝。先日TVで試合をちょこっと見た感じ、非常に締まったいいチームだ。上級生が多く、DFが非常にいい。例年のLoyolaに比べて明らかにフィジカル(サイズと身体能力)がある。Final 4に行く可能性は充分にある。

      2回戦はUNCかDenverの勝者。この試合はまた一回戦からクソあちい。Point blank(至近距離)での殴り合い、点の取り合いになる事間違い無し。シーズン開幕前の連取試合をChapel Hillで見た限り、ほぼ互角。その後UNCが苦しんだ後進化を果たし、Denverも最後の最後にDukeを倒して崖っぷちのTorney出場を果たした。去年Final 4に出ているDenverに経験値で分が有り、ホームでの試合、観客の応援によるSelf image拡大という味方がUNCにはある。

      地元ファンとしてシーズンを通して応援しているUNCは、全体8位の評価。山のバランスとしてはこれ以上無いぐらいベストだろう。Denverに勝てば相手はLoyola。恐らく最もFinal 4に進出し得る組み合わせになったと言える。よしっ...!頼むぜマジで。

      右下

      Notre Dameが堂々の全体4位シード。最後にBig West Tourneyの準決勝でSt. John'sに負けたのはまあ愛嬌って事で。YaleはIvy Leagueを制した試合では非常に巧い攻めを見せた。NDのDFを攻略出来るか?ぶっちゃけ、組み合わせ的には結構可能性を感じなくも無い。もしハマればここでUpsetが有り得る。

      逆サイはVirginia-Princeton。ま、こらVirginiaっしょ。いや、待て待て。Princetonも間違い無く良くなっている。でもまあVirginiaのMFを止められんな。まあVirginiaだろ。

      左上

      Hopkinsが全体2位シード。Coach Petroも自分でビックリの高評価。結構負けたが、SOS (Strength of Schedule = リーグ戦での対戦相手の強さ)が群を抜いて高いのが効いたか。一回戦のStony Brookは粉砕するとして。

      2回戦はLehigh-Marylandか...これぶっちゃけキナ臭いぜ...元US代表選手&監督のKevin Cassese氏の下奇跡の飛躍を遂げつつあるLehigh。アプセット臭漂うな。

      MD/Lehighどっちが勝ってもHopkinsを食う可能性は充分にある。特にHopkinsは1st string MFの黄金コンビJohn Ranagan & John Greeleyのコンビの片割れ、Greeleyが膝の靭帯の怪我が悪化し、シーズン最後に脱落したのがボディブローの様に効いてくる筈。この山も結構怖い感じはあるな...

      左下

      ほふっ。いきなり一回戦からDuke-Syracuse。Dukeは全体3位シード。納得。Cuseは今年は苦しみに苦しんだ。Big East Tournamentで優勝してギリッギリの滑り込み出場。今年のCuseは明らかに例年と違う。恐らくDuke圧勝。

      2回戦はここまで全勝のUMass, Colgate。いい試合になりそう。でも2回戦でDukeとやったら格の差/地力の差が露呈してボコられそう。


      逆に、ギリギリで出られなかったのは?

      Cornellが最大の誤算だろう。開幕前は2-3位。2試合目で大学最高の選手AT Rob Pannellが怪我した時点で一気に暗雲が立ちこめた。せっかく勝ったSyracuseも今年は低順位のため白星の価値が下落。ほかに強豪に勝てておらず、最後にIvy TournamentでYaleにやられたのも響いたか。案の定Tournamentすら出られず...Pannell来年どうする?戻って来るか?MLLに行くか?

      Penn Stateも全体16位だったのでギリギリ。Jeff Tambroni氏の下一気に強くなって来ている。来年以降は間違い無くTournamentに絡んで来るはず。

      Ohio Stateも惜しかった...勿体ない。

      こうやってみると、やはり大体ランク外からConferenceトーナメント優勝によるAQ (Automatic Qualification = 自動出場)枠で1-2チームが下から入って来るイメージなので、大体全体の順位で12-14位に入ってないとTournamentには出られないという毎年のイメージの通りか。


      Final Fourは?

      ってのを全部踏まえると、過去2年間ズタボロに外れた予想を懲りずに掲げると...
      • 右上→UNC(か、一回戦でDenverが勝ったらDenver。いずれにせよLoyolaよりは地力あるっしょ。)
      • 右下→Virginie-NDでVirginia(NDにVirginiaが負ける絵が浮かばん。Steele Stanwickの「絶対に負けさせない力」を舐めちゃいかん。)
      • 左上→Hopkins(か、じゃなかったらMaryland。正直ここが一番読めない。)
      • 左下→Duke(一番鉄板。ほぼ間違い無いでしょ。ここがUMassかColgateになって来ると一気に歴史的Chaosの予感...)
      従って、Final 4はUNC, Virginia, Duke, Hopkinsのパターンじゃないかと。もしそうなったらまたしてもACCが4校中3校。もしMarylandがHopkins倒したら何とACCの4チームによるFinal 4なんてシナリオも...


      優勝は?

      こんなん解りっこねえ。マジで。無理っす。当てるのなんて。と、保険掛けまくって、敢えて、無理矢理絞り出すと...

      準決勝は、一つ目はUNC-VirginiaでVirginiaが勝利二つ目はHopkins-DukeでズバリDuke。HopkinsはGreeleyがいないのと、ATから点を取れないのが響くはず。

      で、決勝はDuke-Virginiaで、Dukeの2年振り2度目の優勝。なんつったってCoach Danowski氏の実力を考えましょうやと。DenverのBill Tierneyコーチ曰く、「(Tierney氏やVirginiaのStarsia氏と違い)Coach Dは21世紀のコーチ」。一昨年は前半ボロボロから優勝、去年も出直しとか言われて最初苦しみながらも結局なんだかんだでFinal 4行ってますからな。今年も当初のグラグラ感と今のタイト感を比べると全く別のチーム。加えて最後の1ヶ月での伸びのファクターが入って来る。特に、一気にスターダムを駆け上りつつあるAT Dionneの底が全く見えない。飄々とOTの決勝ゴールを決めるのはこういう選手。

      てな感じ。

      ま、そうは言っても毎年Upsetが起きてファンの予想を見事に裏切ってくれるのがNCAA Tournament(2010年のNotre Dame、2011年のDenver等、完全ノーマークから決勝やFinal 4まで必ず誰かが勝ち残ってシンデレラストーリーを体現してくる)。今年もUMassとLoyolaとLehighとYaleのいずれかがFinal 4にコロッと残って来ても正直そこまで驚愕ではない。

      今年のTournamentは恐らく過去のNCAAの歴史の中でも最も上位10チームの実力が拮抗しており、どのチームがFinal 4に出ても、もっと言うと優勝してもおかしくない年ではある。その分恐らく最も接戦の多いエキサイティングな年になるはず。

      さて、どうなる事やら。5月下旬のBostonでのFinal 4が今から楽しみ過ぎ。一年間の全世界のラクロスを通じて最も盛り上がる3週間。がっつり盛り上がって行きたい。

      2012年5月10日木曜日

      NCAA 2012 Game Review vol.31 Princeton vs Yale

      NCAA Division 1レギュラシーズン最後の試合。Ivy LeagueのTournament。

      感動した。感心を越えて感銘を受けた。Yaleに。

      来週から始まるNCAAトーナメント16チームの出場枠を目指して争われる7リーグのトーナメントのうち、Ivy League。Havard, Princeton, Cornell, Yale, Brown, Dartmouthなど伝統的学問名門校が名を連ねる。

      Yaleは前々日にCornellを破っている(これで全体13位だったCornellはNCAA Tournament進出が絶望的に厳しくなるんじゃないだろうか...大エースRib Pannellが怪我で脱落した事で開幕前3位のチームがここまで落ちるとは...)。

      Princetonは無難にBrownを破り決勝進出。

      現時点でYaleは15位、Princetonは10位。Yaleはこの決勝に勝たないとTourney進出はまずな無い。Princetonも負けると若干不安。仮に出られるにせよより有利なシードを獲得したいのも本音。共に何とか勝ちたい一戦。

      結果は15-7でYaleが圧勝。(スコアボード

      しかし、そのYaleの姿に感銘を受けた。

      実はTVでYaleを見たのは今回が初めて。今までも非常にいいと言う話は聞いていたが、何がどういいのか良く解っていなかった。今回見てそれが非常に良く解った。
      • まず、大前提として、明らかにサイズと身体能力と言う、入学時の素材のレベルでは明らかに一段劣っているのは一目瞭然だった。がっしりしたコンタクトスポーツ仕様の体育会推薦で固められたPrincetonに比べると、明らかに「普通の大学生」感が強い(そうは言っても至近距離で見たら明らかにでかいのがNCAAだが...他の上位チームとの比較感という意味で)
      • ところが、やっているラクロス、スタイル、戦術、個人技術、メンタル、全てに於いて非常に素晴らしいものを持っており、チームとして非常にいいチームを作り込んで来ていると感じた。「限られた素材/兵糧をベースに、その後の成長で勝つ」考え方の真骨頂。DukeやVirginiaなど毎年ヘビー級のエリート選手を取って強い上位校に比べ、東大を始めとした日本の大学のラクロスチームが見て学べる点がむしろ多いと感じた。
      • 試合全体を通して、チーム全体を通じて強く感じたのは、「効率的に、合理的に、狡猾に勝つ」姿勢の徹底。一言で言うととにかく「試合巧者」。まず、基本が極めてしっかりしている。GB、トランジッション、パスキャッチ、DF、全てに於いて土台がしっかり。OFでもブレークで点をとる、Setでも崩して、崩して、フリーを作って着実に、チーム皆で点を取る。一人で無茶してバカなシュートを絶対に打たない。DFもクリース前をタイトにパックして打たせるのは遠い/薄いシュートのみ。確率論/統計学に基づいた、角度とポジションのマネジが徹底されている
      • Gの#45 Jack Meyer (So)が素晴らしいセーブを連発。見ていて明らかに感じたのは、所謂「Bait(ベイト)=餌/オトリ」を時々使っている点。敢えてファーサイドに構えて反射的にニアに打たせてがっつりセーブ、という技を使っている。
      • ATの#22 Brandon Mangon (So.),  and #33 Matt Gibson (Sr.)が極めてImpressive。別にデカくも無いし、爆発的に速くも無いし、キャノン砲シュートが有る訳でもない。でも、ずる賢くツルッと抜いて、サクッといいパスを出して、ゴール前で落ち着いて確実に決められる決定力がある。「突き抜けた武器」が無くてもここまでやれるのね、と勉強させられた。
      • これでYaleはNCAA Tournament出場枠を獲得。全体順位が低いので、恐らく一回戦はawayで上位校と当たる筈。が、結構このチーム侮れない、相当Upset alert候補のチームになって来るなと感じた。
      Highlight

      2012年5月9日水曜日

      NCAA 2012 Game Review vol.30 Syracuse vs Villanova

      Big East Tournament準決勝第二戦。Cuse vs Nova。双方20位すれすれなので、この試合と決勝に勝ってBig East Tournamentで優勝しないと来週始まるNCAA Tournamentに出場出来ない。必死。

      結果は、まあ、予想されてはいたがSyracuseが15-6で圧勝。前半は接戦だが後半は力の差が出た。

      二日後に決勝でSt. John'sと。勝てばNCAA T出場。負ければ過去30年間で二度目、2007年に続いてのTournament出場出来ず。

      昨年7人のAll American 4年生を卒業→MLL加入で失ったSyracuse。今年は成長の年と言われて来た。開幕後はまあまあ、その後強豪と当たり始めるとやはり競るものの勝てず、一気に崖っぷちへ。それがここに来て徐々に覚醒しつつある。下級生から上級生まで、去年までほとんど試合に出ていなかったメンバーが3ヶ月の経験で一気に本来のポテンシャルを開花させつつある。トーナメントで何かを起こす可能性も出て来た。

      Highlight

      2012年5月8日火曜日

      NCAA 2012 Game Review vol.29 Notre Dame vs St John's

      うおおおおお......もう、なんつうか、訳わかんねえ。もはや。今年のNCAA Division 1。Chaosだ。

      ぐっちゃぐちゃになって来た。もう何が何だか。「木曜夜の狂乱」。

      今年から始まったBig East ConferenceのTournament。NCAA Tournament一回戦開始の一週間前。上位校常連は、当然Syracuse, Notre Dame, Georgetown, Villanova辺り。4チームで優勝を争う。

      優勝すればAutomatic Qualifier制度により、仮にDivision 1全体の順位で厳しくても自動的にNCAA Tournament 16校の枠が確保出来る。従って、現時点で確実にNCAA Tに出られる事が確定しているNotre Dame以外のチームに取っては引退を掛けた最後のチャンス。

      準決勝一発目はNotre Dame vs St John's(セイント=ジョンズ)。(ちなみに二発目はSyracuse vs Villanova。)

      Notre DameはここまでNCAA全体で堂々の3位。鉄壁の守り。穴の無いチームDF systemとG Jon Kempによるリーグ最低失点を貫いて来た。

      一方のSt John'sは、正直、よく知らん...そもそも一度も試合がTV放映された事ないし、ランキングでも20位に入るか入らないか。

      が、今週のESPNU Lacrosse Podcastで元Syracuse MFの解説者Paul Carcaterraが、
      • 決して侮れない
      • 特に、お膝元Lacrosseが盛んな地元Long Island出身の優秀なAT達がかなりキテる
      との事。

      なんぼのもんじゃいと思って見ていたら、「おりょ?」の連発。あれよあれよという間にND DFを攻略し、8-7で勝利。まさかのUpset(番狂わせ)。ND陣営顔面蒼白。St John'sはお祭り騒ぎ。

      これで二日後のBig East Tournament決勝でCuse-Novaの勝者に勝てば、St John'sがNCAA Tournament進出と言う事になる。全く読めない展開になって来た。

      なぜNDに勝てたのか?
      • NDの鉄壁DF System攻略法の「虎の巻」を見た気がした。ND DFの特徴は、全体が完璧に統制された連携。クリース前をタイトにパックし、決して無茶なチェックやプレッシャーを掛けず、ひたすら脚でしっかり着いて行き、角度と高さで守る。早めのスライドとそれに対するカバー、更なるカバーのカバー、の完璧な連携で、絶対に隣を空かせない。
      • それに対してSt John'sが今回明らかに意思を込めてやっていたのは、一瞬崩した後の、早いパス回しと、ズバリSkip pass/Diagonal pass(対角線パス)の超多用。これによりゴール前や中距離でのどフリーによるシュートをバンバン決められたと言うカラクリ。「なるほどー!こうやって攻略すりゃ良かったのか!」と目から鱗が落ちた。NDのスティックアップが疎かになってたのか?恐らくOFリーダーの選手、コーチにとっては学ぶ事の多い試合のはず。
      • 加えて、噂に聞いていたAT軍団が、極めて手元の技術がしっかりしており、上手い。侮れん。
      • NDはコーチKevin Corrigan氏はチームの不甲斐無さに完全に激怒。NCAAトーナメント前に気合いを入れ直すためのいい薬になったという所だろうか。間違い無く引き続き優勝候補の一角である事に変わりは無い。トーナメントでの活躍に期待。

      Highlight

      2012年5月7日月曜日

      Kyle Harrisonのシューターに対する詰め方

      2011年4月15日

      これも「ど基礎」から一歩中に入った話。自分がDFをしていて、マークマンのTime and room(日本のラクロス用語で言う所の「スタンディングシュート」)に対して詰める/寄る際の技術。

      こういう、何となく経験則で各選手がいろんな考え方を持ってたりする技術に関し、「理屈で考えるとこれが正解」「実際にトップレベルでもそうやっている」とバチッと正解を提示してくれるのは有り難い。余計な議論の時間と労力を省ける。

      リンク


      • 自分がDFをしていて、シューターに向かうとき、スティックに向かってシュートを喰らうのか、シュートの軌道を避けるのか。
      • 人によっては(特に古い世代は)シュートをよけろと言う人もいる。
      • が、それはHopkinsのCoach Petroが教えるやり方じゃないし、今のMLLの選手たちがやっている事でもない。
      • 正しくは、相手がシュートを打つ時に、相手の身体ではなく、スティックに向かって走って行く。シュートコースに思いっきり入りながら詰めていく。
      • そうすれば、相手は自分越しにシュートを打たなくてはいけない。上手く行けば自分にボールがぶつかり、跳ね返され、失点のリスクを確実に防げる。
      • もし相手がそれを察知してフェイスダッジ/スプリットダッジで左に抜いても、Great。それこそ自分のやりたい事。ライン際に流して行く。Help(スライド)が来るサイドなので。
      • やってはいけないのは、直接相手の身体に向かってぶつかりに行く事。シュートフェイク/Hitchで自分をFreezeさせ(ビクッ!と固まらせて)、(スライドのいない)表にstep aroundして抜かれるリスクがあるし、自分をスクリーンに使って(シューターの身体を隠して)簡単にいいシュートを打ててしまうので。
      • Again、シュートコース、スティックに向かって行く。相手の身体にぶつかりにいかない。そうすれば、①自分に当たらないように打とうとして軌道が外にずれたり、②自分にシュートが当たって跳ね返ったり、③フェイスダッジ/スプリットしてライン際に流れてくれるので。

      てな感じ。身体に当たりに行っちゃダメなのねと。で、その裏にはきちんとロジックで説明可能な合理的な理由があるのねと。

      もし恐怖心があるなら、最初はテニスボールを使って相手に遠慮なく打ってもらい、自らシュートにぶつかりに行く/シュートコースを潰しに行く、というドリルを毎日繰り返すと慣れてくるかも知れない。まあ、Goalieなんて別に毎日ボールを身体に当ててセーブしてる訳だし。逆にこの練習をすればシューターも、DFが来ても遠慮なくコースを狙って打つ練習、スクリーンとして相手を利用して正確に打つ練習にもなるし。

      そして、恒例のflip side of the coin。OFの立場から見ると何が言えるか?DFが詰めて来る位置/角度によって取るべき選択肢を変えるべし、それを延髄反射で本能的に出来る所まで高めるべし、ということだろう。この映像で言えば、
      • 身体に向かって左側から当たって来たら、①そのままスクリーンに使って打つか、②ヒッチしてスライドのいない表に思いっきり抜いて行く
      • もし右側のシュート軌道で詰めて来たら、①フェイスダッジでライン際に抜く(でもSlideがいるので次の動き/判断が必要)、②もし打ち分ける技術があるなら、肩越し/腰横/足元の隙間から打つ、③諦めてステップバック/ロールバックして仕切り直し(再び間合いを取ってdodgeかパス)
      で、上記の練習に組み合わせて、相手に詰める角度/位置を毎回ランダムに変えて貰い、ゴールとの位置関係で本能的に次の動きを身体が勝手に選ぶレベルまで反復すると。

      2012年5月6日日曜日

      Billy Bitterの故郷Manhasset, NY

      先日紹介したMaverik LacrosseのFuture is HereのCMの延長企画で、広告塔でもある元UNC #4、現Charlotte Hounds AT Billy Bitterの故郷、NY州NY Cityの東側にある、Long IslandのManhassetの紹介動画が載っていた。

      Maverikがしっかり作り込んでて、曲や絵や構成がしっかりしていて作品として完成度が高く、アメリカの東海岸北部の、特に第二のHot Bed(温床/苗床、インキュベーター)と言われるLong Islandの雰囲気が解って面白い。

      なるほど、こういう所からBitter兄弟や、PannellやBratton兄弟や、Nicky Galassoが生まれてくるのねと。

      先日Chapel HillのUNC-Virginia戦にお父さんが来ていたが、父親は地元の少年チームのコーチをやっていたらしい。家の庭にゴールがあって近所の窓ガラス割りまくりだったとの事。もちろん壁で壁うちしまくり。父親が同じスポットに当て続けてレンガにボッコリ穴が空いている。

      アメリカのラクロスの裾野の広さと歴史の深さを感じさせる。

      2012年5月5日土曜日

      NCAA 2012 Game Review vol.28 Cornell @Princeton

      Ivy Leagueの伝統のライバル関係。毎年恒例のレギュラーシーズン終盤の試合、Cornell vs Princeton。

      現時点での大学最高の選手、Rob Pannell(ロブ=パル)

      今年のNCAA Division 1 Lacrosseの最大のStory lineの一つは、やはり何と言っても現時点での大学最高の選手、過去15年で史上最高のATとも言われる、去年のUSILA MVPで今年のMLL全体1位指名、Cornell #3 AT Rob Pannell (Sr)の怪我での離脱。3年前の2009年に1年生として司令塔を勤め、当時CaptainだったMF Max Seibaldらと共に決勝まで勝ち残るも、最後の最後にOTでSyracuseに逆転負け。最終学年の今年こそ果たす事の出来なかった優勝を成し遂げられるかに注目が集まっていたが、開幕2試合目で足首を骨折。復帰出来ぬままここまで来てしまった。

      Face Off Classicでカートに股がってベンチで他の選手たちにアドバイス&激励していたのが印象的だった。

      当初は2ヶ月以内に戻って来ると言われていたが、現時点でまだ復帰出来ておらず。QuintによるESPNU Lacrosse Podcastのインタビューでも、復帰の目処は立っておらず、ひたすらリハビリに努めているとだけコメントしていた。

      ①リハビリが奇跡的に間に合って今年の最後の数週間をトーナメントのためだけに復帰するのか、仮に出た所で果たして出てチームを救えるのか。②はたまた今年は諦めて、卒業も諦めて来年5年生として復帰するのか、③それとも卒業してしまってPrincetonのJack McBrideがUNCに大学院生として再入学して出ているように、最後の一年のEligibilityを他校で使うのか。それとも④単純にもう大学ラクロスは卒業して来年からNYで働きつつMLLでプレーするのか、去就に注目が集まり始めている。

      難しいのは、学問的にも名門のCornellでこれまで卒業に向けて勉強も頑張って来た訳で、その努力を捨ててまで学期を放棄するという選択をするかどうか。仕事的にも既にNYの仕事のオファーを貰っており、それが一年待ってくれるのかという疑問もある。が、彼のCornellへの忠誠心を考えるとそれも考えられる。はたまた、学問的な無駄を避けて、一方でラクロスキャリアを最大化させるために、例えばVirginiaやDukeやUNCのBusiness Schoolの大学院に入学して大学院生としてプレーしたりしたらなかなか驚愕のシナリオだ...(ま、今からだとさすがにApplication(出願)が間に合わないか...)

      Pannellが抜けたCornellはここまでパッとしておらず、シーズン開幕前3位の面影はもはや感じられない。彼がいるのといないのとで全く別のチームという印象。

      試合

      そして、この試合もそれを如実に現すかの様に、14-9でPrinceton圧勝。
      • Princetonがここに来て明らかに良くなって来ている。Face Off ClassicでのUNCへの敗北、その後Syracuse, Hopkinsに負けていた頃と比べても、明らかに全体的に良くなっている印象を受ける。DFと現NCAA最高Gの一人#6 G Tylor Fioritoが鉄壁の守りを取り戻している。加えて、OFも下級生が覚醒しつつあり、アグレッシブな攻めを見せている。
      • Cornellはキツい...Pannellがいないと抜ける選手、OFをクリエイト出来る選手がほとんどいなくなる...、と思ってみていたら、Pannellが怪我の間自分の分身として付きっきりで弟子として指導してきた1年生の#30 AT Matt Donnovanが驚きの活躍。明らかにPannellと同じ動きをし始めている。Princetonの最強DF #9 Chad Weidmeier (Sr)相手にズバズバと抜いて決めている。特にFinalizer(ゴール裏のネットによる引っかけ)の動き等は完全に生き写し。今後3年間Cornellの大黒柱で有り続ける事間違い無し。
      • 解説者のQuint Kessenich氏 (元Princeton All American Goalie)が鋭く指摘していたが、CornellのDFはスライドを飛ばすのが早過ぎたとの事。PrincetonにはHopkinsやVirginia、UNC、Dukeに比べると明らかにダッジで抜けるMFやATが少ない。そんな中でそこまで早いスライドをする必要は無かったはず。結果としてカバーが間に合わず、一歩だけ抜いてスライドを発生させ、簡単に空いたフリーの選手に出され、中距離のTime & Room(日本語で言う所のスタンディングシュート)をズバズバ決められてしまった。逆に言うと、早いスライドで来るDFに対する攻めの勉強としてはいい教材か。
      • 来週は開催2年目のIvy LeagueTournament。決勝で再びこの2チームがぶつかる可能性がある。去年はHarvardとCornellが熱い火花を散らした。
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      2012年5月4日金曜日

      NCAA 2012 Game Review vol.27 Syracuse @Notre Dame

      過去4年間2度の優勝も含めトップクラスに君臨し続けたSyracuse。去年7人のAll Americanを失い一気に若返りを図る今年。経験不足が災いし、17位でもう後が無い。もしTournamentに出られなければ、1983年以来30年間で2007年に続き2度目のレギュラーシーズン敗退と言う事に。

      一方のNotre Dameは引き続き安定。現時点で3位。伝統の鉄壁DF SystemとGが最大の武器。

      試合前/中に解説者達が指摘していた印象に残った数字は、①G Jon Kempのセーブ率67%。枠に行ったシュートの2/3はセーブしていると言う事。②Man Down失点率7%...マジか?相手にEMOやられても10本中9本は止めていると言う事。どうやってんだ?

      試合は8-6でNotre Dame。過去の歴史で5度対戦しており全てSyracuseが勝利。従って今回が史上初のSyracuse戦勝利。(スコアボード)

      見所は、
      • やはり何と言ってもND DF。素晴らしい。前半Syracuseを0失点完封。去年主力のClose DF 2枚をMLLに輩出したが、結局メンツが入れ替わっても同じレベルで鉄壁っぷりを発揮。如何に組織/システムとして完成されているかが解る。全体を眺めていて感じるのが、Man-to-manなんだが、余りにも連携が完成され過ぎていて、あたかもZoneなんじゃないかと錯覚してしまう。Slide、カバーの連携/コミュニケーションが完璧。クリース前にギュウッとパックして、絶対にやばい位置&角度から打たせない。相当数のCuseのシュートが薄い角度からの変なシュートにさせられている。
      • 負けたとは言え接戦。非常に熱いいい試合。特に後半Cuseがエンジン掛かってからはどちらが勝つか解らない手に汗握る展開に。
      • 腐ってもSyracuse。シュートがゲロウマ。特に#21 Tim Desko (Sr)が今シーズン三度目?のBetween the legでの得点。ファンタジスタ。そして#22 OFMF JoJo Malasco (Jr)のTime and Room(スタンディングシュート)の鋭さえげつなし。
      • ただまあ、ちとCuseは全体的に、やっぱり若いのと、DFが明らかに去年から比べて数段緩いのと、Gが4年間ゴールを守ったJohn Gallawayから今年は一年生のBobby Wardwellになったのが大きな戦力ダウンに繋がっている。WardwellはUnder Armorにも選ばれているエリート高校生Gだったが、やはり明らかに大学レベルへのアジャストに苦しんでいる。来年以降での飛躍に期待。

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      2012年5月3日木曜日

      NCAA 2012 Game Review vol.26 Duke vs Denver

      先週MarylandとUNCを破ってACC Tournamentを制し、3位にまで上り詰めたDuke。今週はColorado州DenverにてInside Lacrosse主催のもう一つの集客イベント「Mile High Classic」で地元Denverと対戦。

      QuintもPodcastで指摘していたが、「Upset Alert(格下による番狂わせ警報)」鳴りまくり。
      • Denverは現時点で16位で、これ以上負けるとAt largeでの(Division 1全体での順位に基づく)トーナメント出場が完全に消える。逆に上位のDukeを食えば一気に順位が上げられる。
      • Dukeは既にACCを制し、トーナメントの第一シードは堅く、モチベーションに欠ける
      • 加えて、Dukeは先週の金曜、日曜とACCトーナメントでMaryland, UNCと死闘を繰り広げたばかりで疲弊しており、加えて今回の試合は金曜で、中4日、レストと移動日を考えると、実際に練習出来たのは2日程度のはず。
      • しかも、Denverへの飛行機移動、2時間の時差、遅い開始時間、標高の高い場所でのカーディオ(スタミナ)の差など、やりにくい条件満載。
      • 加えてDenverは今最もラクロスが成長している市場。MLL Outlaws、NLL Mammothに加え、2年前Denver大学に元Princetonの伝説的コーチBill Tierneyが赴任した事で、地元民からの注目が高い。スタジアムのバックスタンドは一面Denverファンで埋め尽くされている。

      と思って注目して見ていたら案の定。やられちまいました。

      15-9でDenverが完勝。(スコアボード

      いや、しかし、上記の理由だけでは説明出来ない要素もかなりあった。一言で言うと、明らかにDenverが良くなっている。

      試合そのものは非常にレベルの高い、見所満載の満足の行く物。というか、見終わって思ったのは、なんでDenver今まで5敗もしちゃってたの...?全然Tournament上位進出有り得るじゃん...だった。

      いくつか見所は、
      • DenverのWarriorによるGold Uniform & Gearがカッコイイ。
      • Duke正G #4 Dan Wigrizer (Jr)が、怪我か?スタートで出なかった。最初の2分でFOを取られ、ポゼッションを奪われ2点ポンポンッと取られ、一気にDenverに火が付いてしまった。そこからWigrizerに変えるも間に合わず。
      • Denverの正Gで守護神だった #16 Jamie Faus (So)がシーズン前半に怪我で離脱。その後負けが込んでいたので、控えのGがしょぼいのか?と想像していた。が、とんでもない間違いだった。急遽Red-shirt(上級生に上手い選手がいる場合一年生が敢えてやるリーグ戦棄権)を停止して参戦した#10 LaPlante (Fr)がかなり堅い守備を見せる。Fausと比べてそこまで大きく見劣りしないどころか、下手したら同じレベルなんじゃねえか?というセーブを連発。怒濤の16セーブに対して9失点。
      • 下級生が多く苦しいと言われていたDenverのDFが、明らかにシーズン初期と比べて改善している。Bill Tierneyコーチの指導の下、明らかに手堅い個人DF/チームDF、特にZone DFが出来ていた。
      • OFは、期待値越えだったのがNext John Grant Jrの呼び声も高い#22 AT Mark Matthews (Canadian, Sr, MLL 4位指名でDenver Outlaws)。もうこれは説明不要。5得点2アシストの7ポイント。ハイライト見て下さい。狂ってんわ。動きが。ありえんわ。注目される程活躍する男。
      • あと、他のCanadian軍団、そして#32 MF Chase Carraro (Jr)が感動的。Carraroは身長170 cm。NCAA D-1のフィールドでは小学生のように見える。出身もラクロス先進地域ではないKentucky州Louisville(ルイビル)。が、FOも異様に強くて(7-8割取ったか?)、トランジッションでの貢献も凄くて、DFも出来て、OFでのスカ抜きっぷりもシュートもやばい。最近NCAA D-1でこの手の身長170未満でクソ速い系の選手が活躍しつつある。小さい日本の学生選手にとっても勇気づけられる事が多い。Dukeの#31 AT Jordan Wolf (So), UNC #11 AT Joey Sankey (Fr), U-Mass #10 Will Manny (Jr) などなど。彼らに共通するのは、①異様に速い(Speed, Quickness, & Agility)。②手元の技術(stick skill)がしっかり。下級生の頃から安定してかなりのプレッシャーの中かなりの精度でのパスキャッチがこなせる。しょぼいミスはまず犯さない。③突き抜けた得意技がある(WolfのXからのCome around、Sankeyのシュートとカット、CarraroのFOとシュート)。④ハートが頭抜けて強い(一年生の頃から「俺が決めて勝たせる」気持ちが誰よりも強く、競った局面でも揺らがない)
      • Dukeはこれで10連勝でストップ。が、まあ、心配する必要はぶっちゃけ全く無いな。というか、ここで一回くらい負けて気合い入れ直すくらいが丁度いい。
      • さて、今後Denverどうなるか。相変わらずユニークなチーム。見ていて面白い。特にMark Matthewsらを始めとしたCanadian達の攻めには一試合に何度か度肝を抜かれる。来週Loyolaに勝てば一気にAt largeでのTournament出場が見えてくるのと、所属するECAC (Eastern College Athletic Conference)で優勝すればAQ(カンファレンス優勝校枠)で滑り込める。個人的にはまたTournamentを掻き回して欲しい。
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